キムラヨウヘイ スプリンターズSの有力馬診断の総まとめ(後編)

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

―キャンベルジュニア牡6田辺57堀(美浦)
まずは前々走安田記念時の有力馬診断を参照↓
『昨年ダービー卿CT回顧では「今回は勝負の中1週ローテで挑んできた。グレーターロンドンの回避によって出走に傾いたとの話で、最終追い切りは異例の木曜追いというリスキーな選択。それが結果にどう響いたのかを読み取るのは難しいが、そういう確かなマイナス材料あった中での2着確保は立派」と書きましたが、結果的にはその無理が祟ったのか京王杯SCは調子落ち、秋のスワンSでも阪神カップでも物足りない調教過程になっていました。

そこから長い時を経て調教過程時点から立ち直りを見せたのが前々走ダービー卿CT2着でした。

条件戦時代の良績も間隔を空けた場面に集中で、昨年も中1週使い後に不振に陥っている通り、状態面を維持するのにそれなりに注文付く馬です…前々走と前走はそれなりに間隔空いたローテで連続好調維持で連続好走を果たしましたが、その京王杯SCで賞金上積みをして挑むコトとなった今回安田記念はそういう配慮ローテではありません。

実際に昨年はそれで失敗していますし、過去に遡っても叩き数戦には耐えられていない馬なので…そんな今回は重視はしたくないです。』
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今回は走り頃の休み明け初戦キーンランドC4着からの中4週ローテで、それは上記の通り良い材料ではありません。
また、前走有力馬診断でも『初距離千二がどうかがポイントでしょう…その点では血統的にもレース振りからもあまり良いイメージは持てないのが本音』とした通り、キーンランドC4着止まりからもこの距離で更にやれる馬だとは見ません。


▽ダイメイプリンセス牝5秋山55森田(栗東)
前走北九州記念日の小倉芝はやや内有利傾向…展開厳しかった内先行馬ラブカンプーこそ捕らえられたものの、その内を捌けてしまったアレスバローズを外から差すのは難しかったという2着止まりに。
一昨年も昨年も夏場に調子を上げている夏馬疑い馬で…直千アイビスSDを目標にして、そこで勝利したからサマーシリーズ獲りに北九州記念も連戦して…この手の馬は例年だと余力の面で厳しくなるのが相場で、また季節進行の面で限界は近づいていてもおかしくないですが…。


―キングハート牡5北村宏57星野(美浦)/除外対象1頭目
まずは前走キーンランドC時の有力馬診断を参照↓
『4走前シルクロードSでは始動戦馬受難傾向レースでの休み明け初戦凡走という経緯。
その上、コノ馬の場合には帰厩後にも脚元不安残っていた模様で本来の形ではない坂路調教のみで仕上げられていたというワケ有り要素もありました。

それに対して3走目オーシャンSでは通常通りのコース追いを取り入れられており、結果的にはなんてコトは無い攻め強化での休み明け2戦目での一変劇でした。ただ、6着馬までが0.1秒差内にひしめき合う大混戦で、中枠先行からの完璧に流れに乗る騎乗あってこその勝利なので価値は微妙です。

前走函館SSは高松宮記念以来の休み明けローテとなりますが、それでシルクロードSパターンの調教過程ならば軽視・オーシャンSパターンの調教過程ならば重視という説を提唱して…2週前まではプール多用と坂路オンリーというモノで、1週前になってようやくW調教を課してきました…つまりはそれの中間に位置する調教パターンで好走できずでした。

そして今回ですがほぼほぼ坂路オンリーの仕上げです…この調教パターンである内は疑えてきてしまします。』
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つまり、コース追いを取り入れられた4走前オーシャンSだけ1着激走で、それが満足にできなかったor負荷を掛けられなかった5走前3走前2走前前走は凡走という分類ができます。

今回は1週前にウッドコースで長めの追い切りを消化ですから、変わり身は見込める調教過程です。
とはいえども、単純能力的に足切りしたいラインの馬にはなりますが…。


▽ワンスインナムーン牝5石橋脩55斎藤誠(美浦)
昨年スプリンターズS3着激走が光りますが、17年の中山芝千二レース(特に17年9月開催)は極端な内枠有利バイアスがあって、当時予想時にも詳説しましたが“内枠馬”がほぼ間違いなく“複数”馬券に絡む程の異常事態だったのです……コノ馬の内枠逃げ競馬というのは完全にバイアス利あった競馬でしたので、その3着の価値は微妙です。そして、本年・直近に於いては、流石に揺り戻しがあってその傾向は消えています。
つまり、昨年と同じだけのパフォーマンスならば本年は3着までは足りない計算が成り立ちます。


―ラインスピリット牡7武豊57松永昌(栗東)
●過去の馬体重二桁増時の出走回とその成績
15年10月桂川S 8番人気2着 (前走小倉から中11週で今回京都/16キロ増)
15年12月浜松S 8番人気6着(前走東京から中2週で今回中京/14キロ増)
16年10月オパールS 13番人気1着(前走小倉から中6週で今回京都/20キロ増)
17年11月京阪杯 12番人気6着[0.1秒差](前走新潟から中3週で今回京都/14キロ増)

●近2年の地元競馬(京都阪神)での成績
6走前淀短距離S1着/444キロ
7走前タンザナイトS2着/446キロ
8走前京阪杯6着(0.1秒差)/442キロ
14走前シルクロードS5着/446キロ
15走前淀短距離S3着/446キロ
16走前京阪杯8着(苦手雨馬場)/446キロ
18走前オパールS1着/444キロ
↓↓↓
毎度馬体重についての懸念が呈される馬ですが、それは上記の通り非輸送競馬ならば実は相当馬体重安定しており、輸送競馬だと問題になってくる話になっています。
また、前者の場合には、それと比例してパフォーマンスについても相当安定しています。

前走セントウルSは非輸送競馬だったので、馬体重440キロ台で苦手とする雨馬場ながらも見所ある走りをしました。
また非輸送競馬且つ良馬場の2要件揃うタイミングで狙いたいですが、今回は鬼門の輸送競馬というのと流石に相手関係的にも厳しいので…。


?セイウンコウセイ牡5池添57上原(美浦)
まずは昨秋スプリンターズS時の有力馬診断見解(抜粋)を参照↓
『高松宮記念激走については、ダートレースでの良績や芝道悪での良績からも当時の渋化急坂のタフな条件への適性面での勝利という側面もありそう。
その上で、同じく4歳馬で当路線頂点を窺おうとしていたシュウジ・ソルヴェイグが自滅且つ他には非スプリンターや古い馬ばかりが上位入線という、言わば地盤沈下路線での消去法的な勝利であるとも。』
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6走前スプリンターズSについては内枠から前に行けずに揉まれたのも堪えたというのと、そもそも状態面で水準まで達していなかったという話(高松宮記念はTMS◎・スプリンターズSはTMS▲)もありました。

5走前スワンSも今となっては距離千四適性がどうだったのかはモチロン関係あるとしても、それ以上にTMS×というのが目に付きました。それは3走前京阪杯も同様で、5番人気でTMS×ってのはやはり何かあるというコトですので。

そして4走前シルクロードSではTMS△で2着好走…本調子ならば高松宮記念G1完勝歴ある馬ですので勝って当然の馬だと思いますので、その意味では近2走よりは復調も本調子手前で恵まれた競馬での2着止まりというのは…ものすごい都合良い解釈をすればTMS情報の通りの結果とも言えなくは無いです。

そして3走前高松宮記念ではTMS×で6着止まり、2走前京王杯SCでもTMS△で5人12着人気裏切り凡走、前走函館SSでは近1年では最高のTMS▲で1着激走という推移。

まとめると 「高松宮TMS◎5人1着→スプリンターズTMS▲3人11着→スワンTMS×3人14着→京阪杯TMS×5人7着→シルクロードSTMS△5人2着→高松宮TMS×5人6着→京王杯×5人12着→函館SS▲3人気1着」というTMS連動馬と見做せるでしょう(そりゃ完璧な一致などあり得ませんが、十分に大まかには一致していると見えるはずです)。

ですので、今回もソレを最重要ファクターとして活用させたい場面と見ます。


★ファインニードル牡5川田57高橋忠(栗東)
まずは本年高松宮記念1着後の回顧文を参照↓
『…1番人気にそんなレッドファルクスが推されていたり、2着以下も6歳7歳の古い馬や外国馬が占めていた通り、今の日本芝スプリント界の停滞は紛れもない事実です。
そんな中で前哨戦段階にて最も頭角を現してきた馬の一気の頂点獲りは最もシックリと来る結果です。
それが非社台(社台馬はこの路線を重視していない)のダーレー産のファインニードルだったというのも頷ける話です。
昨年高松宮記念も同じ様な新星存在だったセイウンコウセイが持って行きましたが、それの勢いが続かなかったのは弱小バックボーンにも一因がある様に思えます…高松宮記念の次走が北海道の放牧先に近いという理由での函館スプリントSも一流の選択だったのか・・・。
それに対してコチラは本年絶好調のゴドルフィン=外厩ミッドウェイFという強力バックボーン馬です。』
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陣営からは5分の仕上げとの声も出ていたのですが、それでも力の違いで勝ててしまったというのが正確な表現でしょう。
叩き2戦目上昇が見込まれる今回も、アクシデントが無い限りは日本馬最先着となる可能性が高いでしょう。


━━━(前編)はこちらに掲載しています。