キムラヨウヘイ 天皇賞春の有力馬診断

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

▽メイショウテッコン牡4福永58高橋忠(栗東)
日経賞は完全前残り展開を最内枠からの楽逃げに持ち込んだ武豊メイショウテッコンと、行きたがる所を道中でメイショウテッコンの直後まで押し上げる騎乗が光ったエタリオウの4歳馬ワンツーという決着。

メイショウテッコンは元より気難しい馬で、4戦目若葉Sは出遅れ自滅、3走前菊花賞では出負けして前に行けない競馬で折り合いを欠いて自滅、2走前日経新春杯も出負け後方から折り合いを欠いて暴走自滅…上手く行った時の強さは確かですが、そういう一歩間違えばのリスクは結構秘めている馬です。

そもそも調教段階から馬の精神面が噛み合っていなかった日経新春杯とは戦前状況は改善されているとしても、やはりG1の長丁場の一戦となるとどう転ぶのかという面も。
前走日経賞はあまりに楽な逃げ切り競馬でしたが、逃げ切り後の一戦というのは期待値が低いタイミングでもありますし、同型複数で前走の様な楽な競馬は見込めぬ一戦です。
ちょっと信頼はできないというのが現段階の評価です。


▽エタリオウ牡4Mデムー58友道(栗東)
まずは前々走菊花賞回顧文を参照↓
『前走神戸新聞杯後には、右回り問題から『G1ハンターデムーロ騎手ですから無策ではないでしょうが、それでも常識的には消極的な騎乗になるか、大外ブン回しなど戦法が限定されてしまいます…デムーロ騎手ならば本気でG1獲り狙うならばミラクル騎乗の望みもありますが、それでも正攻法の手は望めない』と書きましたが、悪癖を出させずに勝てる騎乗というのはコレしか無かったと思います。
同じく右回り難あるスワーヴリチャードの大阪杯でも同じでしたが、コーナー部分での勝負を避けて、1週目正面部で大外ポツンの位置取りで位置取りを挙げて、最後の直線でも大外から早めに先頭を立つ競馬で…最もローリスク且つ大胆な競馬だったと見ます。
結果的にはそのせいで…戦法が限定されてしまった分での早め先頭からソラを使った分だけフィエールマンにピンポイント差される結果でしたが、それを引き出したデムーロ騎手も見事でしたが馬の潜在能力としてはエタリオウも一枚上のモノを見せてくれました。
古馬相手のG1でも楽しみな馬だと思いますが、まず右回りに難点があるのと、この癖馬で勝てる騎乗をできるのはデムーロ騎手以外にいないだろうと…』
・・・
やはり右回りでは正攻法はできないので(少なくとも3歳時にはできなかったので)、前走日経賞でも菊花賞同様にコーナー地点での勝負を避けてのストレート部分で位置取りを上げるというのはエタリオウの右回りでの好走パターンと言える競馬ができました。

今回天皇賞春では…恐らくは菊花賞や日経賞よりは楽案戦いにならないだろうと。
というのも、菊花賞は外有利馬場、日経賞は少頭数且つ道中緩む地点あるレースで、共に押し上げが効きました。
それが天皇賞春というのは基本的には内前有利のレースですので、外から捲り上がるという雑な競馬はそのままロスに繋がり得るワケで。
能力的には相当評価している馬ですが、立ち回り天皇賞春で買うべき“人馬”なのかは疑問アリ。


―リッジマン牡6蛯名58庄野(栗東)
ステイヤーズS1着馬。その前にも3つの長距離重賞OP競走で好走していますが、そのどれもがレースレベルDE以下という低レベル戦で、路線地盤沈下している今だから通用しているものの、非長距離路線からの一流馬も混じるココでは苦戦必至。


▽グローリーヴェイズ牡4戸崎58尾関(美浦)
別に水物の数字実績を以てダメと言うのではなく,それぞれの騎乗内容を見ての見解です
戸崎J自身は技術は確かですし、そのフェアプレー精神は大いに讃えられるべきですが、ただし戦術面では脆弱(オフレコで詳細は言えませんがキチンとしたソースも有る上で言っています)
不慣れ関西場で頭脳戦色が濃くなるG1や長丁場戦ではそれが致命的に作用しているのは、以下の数字やそれぞれのレース振りを見れば明白です。

●戸崎騎手の関西圏G1成績[1-2-1-41]単回32%/複回19%
●戸崎騎手の関西主場長丁場成績[1-0-0-7]
~内訳~
アルター…前残り展開を後方位置取り
エポカドーロ…外有利レースを内コース取り
トリコロールブルー…完全外有利馬場で地元関西騎手は内を避けて騎乗していた所、戸崎騎手だけが馬場内目の最悪コース取り
マッサビエル…禁断の外捲り自滅
アドマイヤスピカ…前残り展開を後方位置取り
ジャガーメイル…禁断の大外捲り
エアシェイディ…18着
シャケトラ…1着


▽クリンチャー牡5三浦58宮本(栗東)
凱旋門賞17着は他にも敗因がありそうですが、フォワ賞は欧州舞台で欧州馬に混じっても脚の遅さを露呈する負け方だった様に思えます。
その前の日本競馬での4連続好走も全て鈍足振りを生かせた競馬での好結果でした。
それを思えば前走日経賞なんかはもう少し格好を付けられるべきでしたが…割かし向いたレースでも7着止まりだった辺りは凱旋門賞遠征の後遺症なのか本調子からは遠いと見るしかありません。


―カフジプリンス牡6中谷58矢作(栗東)
前走阪神大賞典時の有力馬診断を参照↓
『この最近の地盤沈下長距離路線での実績馬しかいない様なメンバー構成のココならば、それよりはまだマシだった17年ダイヤモンドS3着実績も持つカフジプリンスで全然やれて良いはずです。
また、長距離レースというのは高齢馬が幅を利かす場ですが、カフジプリンスは4歳になって間もないタイミングでの好結果というのも額面以上に評価できる材料です。
そのダイヤモンドS以降の重賞連続善戦の戦績もココに入れば上位実績になりますし、長欠明け初戦の前々走京都記念こそ走れませんでしたが、2戦目は距離不足戦ながらも3着に食い込んで復調を示しました。
実績上位+適性上位のコノ馬が(叩き良化型矢作厩舎らしい)叩き3戦目での上昇気配で挑むのならば…シャケトラの除けば最先着も可能と見ます。』
・・・
その前には準OPで完敗を喫した馬が、格上挑戦阪神大賞典で激走に至った背景としては…生粋のスタミナレースへの適性の高さの何物でもありません。

今回はそれと同じ長丁場戦とはいえどもスピードも問われる天皇賞春というレースでは厳しいでしょうし、また兎にも角にもズブい馬だけに加速力問われる&自身も苦手としている下り坂京都コースでは買えません。


―ヴォージュ牡6和田竜58西村(栗東)
気性的にスンナリとした形でしか力が出せない馬で、もっと言えばスンナリ逃げ競馬が理想中の理想。

昨夏札幌日経OPはレースレベルEに近い低レベル戦で、スンナリ番手→単騎先頭のスンナリ競馬での激走。
その次走の丹頂Sは馬体重増も堪えたかも知れませんが、前崩れ展開で揉まれる競馬での撃沈。
そして再び逃げの手、それもスローペース大逃げという大分恵まれる競馬だった万葉Sで一変激走。

ココは同型複数で楽な競馬は望めない上、そもそも最大限恵まれてOP特別で何とかという戦績からも能力的にも最下層です。


▽パフォーマプロミス牡7北村友58藤原英(栗東)
昨秋アル共勝利は実績馬ノーブルマーズ・ガンコなどは自滅に近い敗戦で、2着3着には前走条件戦馬が入る組み合わせ…単純に力上位はパフォーマプロミスだったという結果でしょうか。
それらここまでのG2での3好走は全てG3級に近い低レベル戦選り好みのレース選択の妙(策士藤原英師)もあっての結果という点で…G1級で足りる能力は認められないです。


△フィエールマン牡4ルメール58手塚(美浦)
まずは前走AJCC後の回顧文を参照↓
『1着シャケトラに対して、早めに仕掛けていって寸前で垂れたのがメートルダール、逆に仕掛け遅れ気味で寸前で差せなかったのがフィエールマンという構図。…フィエールマンはキレるディープ産駒で、今回の舞台条件適性では一枚落ちだったはず。それながらもココがベストに近い条件だったはずの1着馬と3着馬に肉薄ならば寧ろ力を証明した形で…京都東京コース替わりならば次は負けないでしょう。』
・・・
能力的にはエタリオウに次ぐ2番手評価です。
ただコノ馬の武器は末脚の良さで、菊花賞こそ外差し有利レースで勝ち切りましたが、そうでなかったAJCC・ラジオNIKKEI賞では共に取りこぼし2着止まりでした。天皇賞春というのは末脚だけで面倒を見られるレースではありませんので…。

●天皇賞春4角6番手以下から好走した馬(近10年良馬場時)
18年1着レインボーライン(イン差し)
16年3着シュヴァルグラン(イン差し)
15年2着フェイムゲーム
14年2着ウインバリアシオン
14年3着ホッコーブレーヴ
12年3着ウインバリアシオン
09年3着ドリームジャーニー


▽ユーキャンスマイル牡4岩田康58友道(栗東)
右回りだとモタれる所がある馬。
前々走万葉Sでは2着取りこぼしたが、当時はイレギュラーな大逃げ展開だったのと、不得手右回りだった分でモタれつつを修正しながらだった分での結果。
前走ダイヤモンドSでは岩田騎手は操縦性に自信を持ったとの話でしたが、それは左回りだったからで、右回りで岩田騎手必殺イン突きを繰り出せるかは?


▽ロードヴァンドール牡6横山典58昆(栗東)
https://twitter.com/jou_syou/status/1120613605878054912
私は横山典JのことをG2マイスターとも呼んで重宝していますが、多くの上位騎手はG1を大目標に据えて前哨戦では次に繋がるレースというのを考えるのが一般的と思いますが、世俗に捉われない横山典JはG1云々よりも馬本位で勝負してくる騎手です。
例えばミスパンテールでは前哨戦阪神牝馬Sで逃げて激走させて次走G1ではそれが仇となり自滅、アエロリットでも前哨戦クイーンSで馬鹿逃げさせて次走G1ではそれが仇となり自滅…ロードヴァンドールの前走阪神大賞典もその嫌いがある激走劇でした。。


★チェスナットコート牡5坂井瑠58矢作(栗東)
天皇賞春のレース特徴についてはフィエールマンの欄の通り。
そんな昨年の天皇賞春で最も外で脚を使う競馬をしていたのがコノ馬で、それでの掲示板内結果については評価したいトコロです。当時騎乗していた蛯名騎手というと京都長丁場得意のイメージもあるかも知れませんが、単純に年間100勝級の活躍をしていた当時と年間30勝クラスに落ちた近2年と同列には扱えないですし、また馬場的にも当時と今とでは変化がありますので…昔も今も変わりなく◎のままとはならないはずです。

また矢作厩舎は数を使う方針だけに休み明け初戦からは仕上げない傾向と、また目標レースとそれ以外とではメリハリを付けた仕上げを施す傾向があります。
ザックリと言えば休み明け初戦は叩き台に使ってそこから間隔を詰めて走らせるというコトです。
記憶に新しい所では先週オアシスSで激走したドリームキラリは正にソレでしたし、カフジプリンスやモズアスコットもそういう戦歴の歩みです。
コノ馬も見え見えの天皇賞春大目標での前走長欠明け初戦大敗馬ですので…ココは変わり身が期待できる局面です。

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