キムラヨウヘイ 天皇賞秋の有力馬診断の総まとめ(前編)

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

―ステファノス牡7Cオドノ58藤原英(栗東)
●[藤原英昭厩舎の期別成績]


●[藤原英昭厩舎の夏以降の重賞成績]
宝塚記念 ステファノス11人7着
宝塚記念 パフォーマプロミス4人気9着
中京記念 ガリバルディ11人7着
レパード グレートタイム1人6着
新潟2歳 エイカイキャロル7人10着
新潟記念 グリュイエール2人10着
ローズS フィニフティ9人12着
セントライト ギベオン3人13着
神戸新聞 エポカドーロ1人4着
毎日王冠 ステファノス8人4着
府中牝馬 メイズオブオナー10人8着
東京HJ ルペールノエル1人4着
菊花賞  エポカドーロ3人8着
春まで26戦11好走→夏以降13戦0好走

18年は各種調教師成績でリーディング独走してきた藤原英昭厩舎ですが、実はここに来て勢い急失速中です。
夏後半から成績を落とし続けており、その平均人気を見ての通り馬質(?)は変わらぬ中で着順だけ落としていますので、過剰人気=危険人気傾向の最中と言えます。

平場だけでなく重賞レースでも同様…特に厩舎好調期の春に実績を残した馬で、秋の立ち上げ初戦では軒並み失敗しています。
それが一過性で収まるのか、厩舎の不調の最中でも例の本番メイチ仕上げは炸裂できるのか…この流れでは劇的(毎日王冠4着から天皇賞秋好走に至る為にはソレが必要)は変化は望み辛いです。


―アクションスター牡8大野58和田勇(美浦)
OP特別よりも分不相応にG2に使われるコトが多いが、それはOP特別でも勝負にならないからという逆説的な話だろう…15年から新設された特別出走奨励金がほぼ無条件で交付されるG2に出た方が、OP特別で頑張って上の着順を目指すよりも結果稼げる期待値が高いと陣営内で位置付けられる程度の馬だというコト。
今回は更に上の相手関係のG1ですが、これも出走するだけでほぼ無条件で200万円が手に入るという…OP特別でも善戦できないOPクラス在籍馬にとっては最もオイシイ話と言えます。

適条件のOP特別をスルーし続けて、この期に及んでも分不相応なG1G2に出走させる時点で、奨励金目当ての意向強い=好結果は目指していないという本気度の低さが窺い知れる…毎度のコトですがこうとしか書けません。。。


△アルアイン牡4北村友58池江寿(栗東)
皐月賞有力馬診断では『毎日杯馬という裏ローテ馬。その毎日杯制覇後に[皐月賞→ダービー]という王道ローテが発表されたが、そもそもがこれまでマイル路線→毎日杯という使い方の時点で(陣営内で)本気でクラシックを狙っていた馬ではないと分かる。一口クラブ所属馬だけに勝ったから夢を見せる皐月賞→ダービーなのであって、そうでなければ順当にNHKマイルCが既定路線だったはずの馬ではないだろうか。』と書きましたが、皐月賞後の池江師はそれと全く同じ趣旨のコトを言ってたので…
池江師にとっても予定外の皐月賞(クラシック路線)での激走だった。
それが幸か不幸かはさておき、やはり池江厩舎の一級馬としてその後は堂々と王道路線を歩まされた経緯…昨秋菊花賞挑戦にしても池江厩舎だからこその選択でしょう。
そんな距離二四ダービー・距離三千菊花賞でこそ案外だったものの、適距離二千付近レースでは格好を付け続けており、やはりこの路線ならばトップクラスの一頭と言えるはずです。

前走オールカマー出走時同様に、今回も気性面の問題から池江厩舎としては珍しいプール併用多用での本来のコース追い一切ナシの坂路オンリー調教です。

そして鞍上北村友一J起用というのも、ノーザンFにとっては都合の良い騎手という位置付けで、決して本気で大きなレースを獲りに来た時の人選ではありません。天下のサンデーレーシング且つ池江厩舎ですから、もしもアルアインが本丸的な存在ならばもっと格上の騎手を配すコトをしたはずなので。

北村友Jは前走オールカマーでも満点無難騎乗を見せましたが、基本的に受け身の騎乗スタイルですので…G1を勝てる騎手ではないという見立てです。
府中G1獲りの最大のチャンスだったVMでのレッドアヴァンセ、そして先週府中牝馬Sでのレッドアヴァンセの騎乗振りを見る限りでも、やはりこの騎手が府中G1を勝ち負けというシーンは少し想像し辛いトコロです。

馬も速い上がりが問われるレースだとキレ負けするトコロがあるので、それが問われる府中二千G1で当地不慣れな騎手では…。


―ダンビュライト牡4戸崎58音無(栗東)
まずは前走オールカマー時の有力馬診断を参照↓
『3走前大阪杯はコーナーでスムーズさを欠いたのが地味に大きな不利で、2走前香港は馬体減で走れる態勢でなかったのが全て。
前走宝塚記念は距離延長と武豊起用でまともならばと思いましたが、その大阪杯のデジャブの様なコーナーで包まれる形から直線追い切れずという不完全燃焼凡走に…それが無ければ或いはという脚は見せていませんが、こういう小不利が大きく響くタイプだけに結果は結構違ったかも知れません。』
・・・
そういうタイプであるコトは鞍上も百も承知なのですが、逆に言えば他馬鞍上も百も承知というコトです…それでか国内では3戦連続で不本意な窮屈に脚余す騎乗での敗戦続きになっています。
前走でもスムーズに脚を伸ばせる形だったならばここまでの着差は開かなかったはずです、が、それを常に意識しなければならない馬ですし鞍上もタイトな競馬を好みがちで詰まりがちな戸崎J起用はどう転ぶのか…。


―マカヒキ牡5武豊58友道(栗東)
まずは昨秋始動戦毎日王冠時の有力馬診断を参照↓
『近年の3歳馬の凱旋門賞挑戦はキズナとハープスターの2頭だが、ハープスターは不調に陥っていつの間にか引退で、キズナも成長案外で早々に引退してしまった。

3歳時の凱旋門賞遠征については、「例えば並のダービー馬が居たとして、その馬がダービーを制した3歳春時点で一見とっても強い馬に見えるかも知れませんが、実はその時点でも古馬に混じればOP級なのです。2歳G1馬なら、その時点では古馬の1000万下級なのです。つまりは、古馬になって以降も活躍する為には、誰しもが“大きく成長しなければならない”というのがお分かりになるかと思います」というワケですので、
もしも凱旋門賞遠征による成長の阻害があるとすれば、それが成長期3歳時点であればその影響は決しては小さくは見積もれない代物になるのではないか。

杓子定規に測れるモノではないでしょうが、一番の成長期を別の身を削るコトに費やすワケですから…現に素質馬こそ無理をしないでジックリと育てるというのが競馬界の常識として横たわっている以上、その真反対を施すコトによる後への影響が無いってコトは無いでしょう。

今春のG2三着とG1四着という結果については、道悪京都記念3着だけなら情状酌量できましたが、それなりに条件揃っていた大阪杯でもパフォーマンスを上げられなかったとなれば成長問題が槍玉に挙げるのは当然。
欧州での調教やレース経験によって当時は「馬がパワーアップ」したなんて良い話風に言われていましたが、それへの適合(欧州仕様育成)は逆に日本競馬適性を損ねるコトにも繋がるのは当然だろう(というのは、丁度凱旋門賞が終わったタイミング=サトノダイヤモンドが主に馬場問題により全く通用しなかったタイミングではシックリいく話ではないでしょうか)。
欧州経験の影響か又は母系の血が出てきた影響もあるかも知れないが、3歳春当時のキレキレのマカヒキは今は昔で、大阪杯にてルメールJから「反応が鈍い馬」だと認識されているのはもはや別馬であるというコトではないか。

過去最長の休養=頼みの綱の成長期4歳夏を挟んだ今回は変身=復活できる最後のチャンスになるだろうが、少なくとも昨秋から今春の当馬を見る限りでは3歳春当時の輝きを取り戻すのは難しそうに見えたし、鞍上内田博Jというのも本当に期待されている馬への鞍上配置ではない点で過度な期待は禁物だろう。』
・・・
個人的には予ねてから一貫して3歳時の凱旋門賞挑戦は好みでないという見解…マカヒキの帰国後のレース参戦時には毎回上記の凱旋門賞参戦批判じみたコトを書いてきましたが…本当に日本競馬界の大きな過ち=損失ではないかと思うのです。

昨秋は毎日王冠6着・天皇賞秋5着・ジャパンC4着という、着順だけ見ればそこまで悪くない結果。

ただし、その天皇賞秋5着についても、内有利決着を外枠からの唯一健闘馬として評価されている風潮でしたが、それには賛同できません…それこそ『凱旋門賞挑戦による中途半端な欧州化の成れの果て』の通りの半欧州馬だからこその善戦とも言えないでしょうか。

3歳時のマカヒキと言えばキレキレの馬でしたが、毎日王冠でも鈍さを指摘されて、秋天はその鈍さが相対的に武器になる舞台条件での激走でした。

ジャパンCでも欧州馬アイダホと同じような道中位置取りから前後してのゴール入線の4着健闘でした。

前走札幌記念にしても、こんな上がり掛かる競馬で大味な競馬で通用するレースというのは寧ろ向いていたはずで。そこでは自ずと後方まで下がる競馬をしていましたが、これが並の馬場状態で瞬発力を問われた時には間に合う馬ではないと思います。

東京良馬場二千で買える方向の馬ではないのではないかと。


★スワーヴリチャード牡4Mデムー58庄野(栗東)
前走は初距離マイルでしたが、追走に苦しむどころか寧ろ追走し過ぎるところを宥める競馬に。
陣営は「マイル仕様とかは無い」と舐めた様な話をしていましたが、どうやらデムーロ騎手はそんな軽い気持ちは一切無かった様で、実際にも最終追い切りに騎乗して調教師指示よりも5秒も早い時計を計時…それはミスではなくいわゆる確信犯で、調教師サイドは距離マイル仕様を否定していましたが鞍上デムーロJは本気でマイルG1も獲りに来た諸々を施していた印象です(デムーロ騎手は調教では調教師指示無視の常習犯…もしもデムーロ騎手が調教に騎乗して軽めに流した場合には概ね仕上がっているという解釈が可能)。
今回も最終追い切りを踏まえて最終判断を下したいです。

昨年有馬記念の敗因は右回りもそうですが、あそこまで位置取りを下げた競馬になった点が全ての元凶でしょう…その前のアルゼンチン共和国杯等のレース振りから『今なら自ずと普通に先行できる』が当時◎を打った根拠の一つでしたが、何故有馬記念だけあんなに追走できなかったのかと言えばアルゼンチン共和国杯激走の反動だったのではないかと見ています。
現に体質面に弱さを抱えている馬ですので、この休み明け初戦ローテも寧ろ不確定要素排除の安心材料です。

とにかく右回りとスタート失敗以外の要素では崩れる姿が想像できない位の現役最強馬です。


━━━ (後編) へ続く。

高速上がりが問われない今の京都芝を歓迎なのは?
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