キムラヨウヘイ 有馬記念の有力馬診断

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

★リスグラシュー(レーン)


今回の“グランプリレース×ハーツ産駒×外国人騎手”の該当馬はリスグラシューとスワーヴリチャードの2頭。

その“ハーツクライ×外国人騎手”云々を含めて、まずは昨秋エリ女後の回顧文を参照↓
『高評価していた一頭ですが、ここでここまでの圧巻パフォーマンスを見せてくるのは想定外・想像外…それは何故だったかと言えばモレイラ騎手・外国人騎手だからと言うのが正解なのでしょう。リスグラシューもこうなると…以下の説を採るしかありません。
---------------------------------------------
●近2年のハーツクライ産駒の古馬混合重賞勝利馬
リスグラシュー(モレイラで初G1勝利)
ロジクライ(ルメールで復活重賞勝利)
スワーヴリチャード(デムーロで初G1勝利)
フェイムゲーム(ルメールで一変重賞勝利)
サトノクロニクル(デムーロで初重賞勝利)
マジックタイム(シュタルケで初重賞勝利)
シュヴァルグラン(ボウマンで初G1勝利(外国人騎手好走⇔日本人騎手凡走の近況))
---------------------------------------------
ディープ産駒の場合にはそこまで顕著な傾向はありませんが、ハーツクライ産駒の場合には外国人騎手か日本人騎手か否かで競走パフォーマンスに顕著な変化が認められるというコトです。
単純にハーツクライ産駒という括りでも、もっと精度を高めるならば芝重賞のハーツクライ産駒という括りでも…共に外国人騎手騎乗時の好走率と回収率までも相当に優秀なのです。
ディープ産駒のキレ味を繰り出すのは日本人騎手にできても、ハーツクライ産駒を動かせるのは双方で大きな差があるのではないでしょうか(略)』
・・・
リスグラシューも初めて外国人騎手(海外騎手)が騎乗した昨秋シーズンを境に、強い牝馬の類から現役トップ馬まで大出世を遂げた一頭です。

リスグラシューのPP(プロファイリングポイント=その馬のパフォーマンス上下と最も相関関係あるポイント)は、ズバリその騎乗騎手にあるでしょう。
その点で特例で騎乗許可が与えられたレーンJ騎乗ならば不足無し。
昨秋以降も軽いレースでは取りこぼしありますが、タフさ=純粋な強さが問われたレースでは宝塚記念然りコックスプレート然り勝ち切っていますので、その延長線上にある有馬記念でも激走可能性高しと言えるはずです。


▽スワーヴリチャード(マーフィー)
ジャパンカップ上位勢からはスワーヴリチャードのみが有馬記念参戦。
そのジャパンカップは重馬場で施行されて、それなりに消耗度激しいだろうレースになったのも、上位馬軒並み回避の背景かも知れません。
それで言えば、その勝ち馬スワーヴリチャードが有馬記念で更に上げてくるコトはないだろうと。しかも、スワーヴリチャード陣営の口ぶりからも今期はJCメイチは明らかで、有馬記念出走は惰性の一戦という感もあります。

スワーヴリチャードのPPは右回り苦手傾向。
右回りだと手前の替え方が下手で、モタれて力を出せない傾向があります。
(OPクラス)左回り[4-2-3-2]⇔右回り[1-0-1-3]

それでも右回りでも昨年大阪杯みたく内ラチを頼る競馬ができれば良いのですが、特に右回りで外を回る競馬を強いられるとマイナス幅が大きくなります。
(OPクラス)直線進路最内~内[5-0-3-2]⇔直線進路中~大外[0-2-1-3]

直近2勝の昨年大阪杯と前走JCは共に直線でラチを頼る競馬も奏功した印象だけに、右回りで非内枠配置となると飛ぶ危険性は増すと見ます。


―シュヴァルグラン(福永)
昨年有馬記念の本命馬。
当時の激走は“ボウマン様様”の内容で、先行策予定も即控える競馬に切り替えた点・大外枠発走から極力コースロスの無い競馬に徹した点が功を奏して、極端な消耗戦になった分で最後まで脚を伸ばし続けられる特性を生かして3着にまで食い込めました。
加齢とともにスピードは徐々に衰えて行くはずですが、晩成ハーツクライ産駒だけにまだまだスタミナ面ではなだらかな下降が想定されます。また昨期も叩き3戦目で本領発揮となった通り、やはり高齢馬ならではの多方面での鈍さは否めません。

仮に外国人騎手確保できても、恵まれた昨年と同じだけ走っても足りない相手関係や、昨年よりも高速馬場でスタミナ不要レースになりそうな点から厳しいと見ていましたが、それに加えて純日本人騎手替わりのマイナス要素も加わったとなれば消すしかありません。


―クロコスミア(藤岡佑)
-----------------------------
●18秋:札幌記念8着→府中牝馬5着→エリ女2着→香港10着
●19春:中山牝馬6着→阪神牝馬5着→VM3着
●19秋(予定):札幌記念7着→府中牝馬S5着→エリ女2着→有馬?
-----------------------------
今春シーズンは当初からVMが本番との話で、実際にも有言実行の叩き良化過程でのG1激走。
今期も『秋は府中牝馬Sあたりから始動しようかと思っていたんですが、放牧先で状態が良かったので前倒しで札幌記念を使うことにしました。そうしたら、エリザベス女王杯まで2回使えてベストなローテーション』との談話の通り、狙い澄ましたローテでのエリ女で突如激走。
その昨年はエリ女の後に惰性で出走した香港では惨敗を喫しましたが、本年の有馬記念参戦もそれと同じ様な話でしょう。
惰性の一戦という点、そして昨年よりもワンランクずつパフォを落としている近況からも、再激走は望み薄だろう。


△キセキ(ムーア)
まずは4走前大阪杯時の有力馬診断見解抜粋を参照↓
『外回りコース[4-2-3-1]⇔×内回りコース[0-0-1-3]
この手のデータは基本的にはその他複合的な要因も含んで偶発的な数字の偏りになるのがデフォですが、そうだとしてもキセキの超大トビ走法からはやはり広いコースで伸び伸び走れてこそだと思われますので…阪神内回り二千だとジャパンカップ程のパフォーマンスは叩き出せない計算で、その点をどう評価するのかだけ。』
・・・
その大阪杯では絶好の前残り展開2番手追走でしたが、やはり内回りコースだと加速できない分で攻める騎乗が難しい分での惜敗結果だと言えます。
3走前宝塚記念も同じ話…短い直線コースでコノ馬を勝ち切らすのは至難の業と言わざるを得ない結果でした。
4歳夏以降で国内で凡走したのは18日経賞と18有馬記念で共に中山二五コース…内回りでコーナーが多い当コースでは余計に良さを出し辛いと言えるはずです。
少なくとも頭はナシ。


▽サートゥルナーリア(スミヨン)
皐月賞後に『サートゥルナーリアは下馬評よりはギリギリの辛勝でしたが、これまでのレースでは追ってどこまで伸びるかというのは覆い隠された中での連勝で、いざ追われた時の脚の確かさについては最強クラスではなかったという結果だと思います(常に前掛かりの競馬をするが故に、見た目上の反応の良さや俊敏さは最上級あっても、それは末脚の質の保証になるとは必ずしも言い切れない)』と書きましたが、その持続力が問われたダービーでは完敗で、対して瞬発力特化の競馬になった神戸新聞杯では完勝。
そして再び使える脚の長さが問われた天皇賞秋では、ラスト急失速の内容で完敗。
気性的にも、どうしても鞍上の意思よりも早く脚を使ってしまう嫌いがあり、今回有馬記念でも外目をダラダラと回される競馬ならば脚が止まるシーンが想像できる。
それなりにペース流れる競馬になるはずなので、余程内目で脚を溜める競馬ができないと勝ち負けまでは厳しい。


★アーモンドアイ(ルメール)
新馬戦以降の唯一黒星が付いたのが2走前安田記念。その日の馬場は内有利傾向、そしてペースはアエロリットのポジショニングがベストでそれ以降の各馬は必要以上に追走していない競馬。アーモンドアイはもし仮にまともなスタートならばキチンと追走した可能性もありますが、それをスタート後のアクシデントで砕かれてノーチャンスと言っても良い位置取りからの競馬を強いられました。それでいて3着まで追い込んできたのは抜けた能力以外の何物でもありません。
国内でまともに走れた前後走の昨年JC・本年秋天では説明不要の圧倒的な競馬…言わずもがな現役最強馬として重い印を打つ以外の選択肢はありません。


―ワールドプレミア(武豊)
―ヴェロックス(川田)
有馬記念と好相性を示す菊花賞組からは上位2頭が参戦。
ヴェロックスが「非長距離志向が強い中内田厩舎」に対して、ワールドプレミアは「長距離得意の友道厩舎」。また「前哨戦からキチンと乗る良くも悪くも正攻法な川田騎手」に対して「前哨戦では本番を見据える騎乗をする武豊騎手」。
前者は肉体的にも気性的にも煮詰める中内田厩舎で、これまでも好位競馬ばかりしてきた川田騎手の育成により、長距離レースでもやや掛かり気味の先行競馬となり最後ガス欠。それを友道厩舎と武豊騎手の大器晩成育成方針により、この長距離レースでも操縦性良く進められた後者が差したという結果でした。
その2頭の優劣は、非長距離レースならばヴェロックスの方が上回る位置にある一頭と見ます。

ただし、その菊花賞は4着に次走2勝クラス凡走のディヴァインフォース、5着に前走1勝クラス勝利のメロディーレーンが食い込むような低調な一戦で、それに決定的な差を付けられずの勝ち負け程度のパフォーマンスでは如何にも物足りません。

ワールドプレミアはその菊花賞がベストパフォという馬ですから、その限りでは有馬記念では足りないだろうと。

ヴェロックスは皐月賞がベストパフォーマンスで、その後はパフォを上げられていない近況。
それの一因は早熟育成の中内田厩舎馬であるコトなのか、または距離が延びるにしたがって相対的にパフォを上げられなかったのか。
どちらの要素が主因だとしても、中内田厩舎育成で引き続き距離長めレースに出走であるならば、重視はできません。


▽フィエールマン(池添)
2走前札幌記念の敗戦について、陣営は『天皇賞(春)の疲労がだいぶ残っていたので、状態はまずまずといったところでした。毎回3カ月ほど間隔をあけて走ってきましたが、回復にもう少し時間が欲しかったというところです。ただ、そんな中でもよく走ってくれたと思います。』と振り返っていました。

4つ上の兄、3つ上の姉は日本でデビューできず。
1つ上の姉ルヴォワールも体質が弱くてほぼ全戦休み明けローテでのレース起用で、唯一連戦ローテで出走だった現役最終レースでは心房細動を発症。それに加えて脚部不安で引退。

相当虚弱体質の血統馬で、それが凱旋門賞帰りで中10週で果たして万全の状態で出走できるのかと言えば、大分怪しいと言わざるを得ない。


―アエロリット(津村)
右回りに難点がある馬。
前回の右回り挑戦の昨年マイルCSは2人12着大敗。
前々回の昨年中山記念は有力馬診断で『右回り小回り条件で難なく正攻法競馬をこなしての本領発揮が有り得るかと言えば現状未知であるとしか言えません』としましたが、誰も競りかけて来ない2番手競馬で我慢する形は作れましたが、ただしやはり右回り小回りには難があるようで完全に直線では加速遅れからギリギリでマルターズアポジーを捉えられたという結果(2着)でした。
その後は一貫して左回り起用をされており、久しく右回り起用という今回の有馬記念参戦は、引退レースとして相応しいレースだから距離も回りも適性度外視での参戦としか考えられず…。


▲エタリオウ(横山典)
3走前宝塚記念は連戦疲労で力を出せなかったとの話。
2走前京都大賞典は内有利馬場の内前残りレースを最後方からではノーチャンスだったレース振り。
前走ジャパンCは内有利馬場を外枠先行のバイアス不利あったレース振り。
今夏以降3戦は何れも情状酌量余地ある敗戦で、特に前走JCでの外先行失速については軽い馬場適性高いコノ馬にとっては尚更堪えた可能性ある負け方でした。
先行競馬をした青葉賞2着から、ボウマン騎手の判断で後方一気の競馬をしたダービーで4着にジャンプアップした過去もありますが、そういう末脚一本の競馬での変わり身は秘めている一頭と見ます。


―アルアイン(松山)
5走前金鯱賞では柴山Jに直前乗り替わりの影響もあったかは定かではないが、柴山J曰く「道中もハミに乗りかかってくるような雰囲気で、4コーナー手前からはスカンとハミが抜けてしまうようなところがありました」という難しさを見せて差し遅れる様な形でのチグハグな敗戦。
4走前大阪杯では癖を知る騎手に手戻りと、気を抜かせないで競馬できる内枠替わりにより、全く力を出さずに終わった金鯱賞から文字通り一変という結果に。

プール併用や坂路調教を強いられている様に気難しさは引き続き認められますので、やはりその大阪杯みたくの内枠競馬が絶対条件と見られます。

2走前天皇賞秋は最悪な大外枠発走から終始大外競馬で最後は競馬を辞めていたノーカウント凡走。
前走マイルCSも外を回る競馬で何もできずの敗戦でした。

一気の距離延長は厳しい条件ですが、まずは内枠を引けるのか否かが最後の可能性を左右してくるか。


▲レイデオロ(ビュイック)
藤沢和雄厩舎は芝重不良では近10年重賞30戦0連対(単複回収率6%)、平場でも芝不良では37戦4好走(単複回収率12%)という散々なデータが残っています。
それの背景・考察については、6年前の過激記事(「体は大人、心はゆとり」の藤沢厩舎馬が函館極悪馬場で脆すぎる→http://blog.livedoor.jp/sguw/archives/2087562.html)の通りですが、「極端に走らない」というのと「次走良馬場時に何事も無かった様に即一変する」という事例がこれまで数多あります。
レイデオロの前走JC敗戦については、馬場だけが要因なのか、それに加えてそもそもの衰えもないのか…何とも見極めた難しいブラックボックス状態となってしまいましたが、少なくともここまでの負け方ならば前者要因も大きかっただろうと見るべきでしょう。
衰え疑惑大きくとも、腐ってもジャパンカップで1番人気に支持された馬です…結果ワケ有り大敗で次走ラストラン有馬記念で人気急落となるならば、それは妙味を読み取るべき回になると見ます。

有馬記念前日に行われる1400mのGⅡ戦!
半年ぶりの出走となる桜花賞馬グランアレグリアの評価は?
阪神Cの有力馬診断はこちら!



【ブログご案内】
http://blog.livedoor.jp/sguw/
宜しければブログの方も上記リンクから飛んでご覧下さいm(__)m