キムラヨウヘイ 毎日王冠の有力馬診断

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

●レース傾向
4年前までは同週開催の京都大賞典と毎日王冠でメンバー二分していたが、近年となっては毎日王冠がG1天皇賞秋への唯一無二の王道ルートへとなりつつあります。
それに伴って毎日王冠に出走するメンバーの質は年々高まりつつありますが、ただしそれらの高レベル出走馬が意外な程にココでは結果を残さないという…更には次走G1秋天激走馬は、寧ろこの前哨戦G2毎日王冠凡走馬の方から多く輩出されるというパラドキシカルな現象になっています。

それは何故かと言えば…それだけ次走以降の本番G1戦線を本気で視野に入れている強豪馬こそココは次を見据えた・消耗しない・温存競馬をしがちであり、力量差大きくともココを本気で勝負しにきた格下馬にチャンスが巡ってくるという話でしょう。

3年前こそ異例の外差し馬場で後方競馬の人気馬に展開が巡ってくるという特殊事例となったが、それ以外はほぼ一貫して“スローペース前残り展開”で、単純化すれば“後方競馬の人気馬=危険人気候補馬”“前目競馬の伏兵馬=穴激走候補馬”に近いという一戦となっています。

もう一つ面白い話は、近11年の毎日王冠の3歳馬成績は他年齢馬成績に対してトントンくらいですが、実は[非上位人気馬(弱い馬)の連対率>上位人気馬(強い馬)の連対率]というパラドキシカルな結果となっています。
具体的には上位人気(3人気内)馬は[1-1-1-5]で、非上位人気馬は[1-2-0-6]で、前者の好走馬は共に先行馬でした。

コレも上の話と同様に、本気でこの先を見据えてしまう馬は危険人気馬傾向で、力量劣ってもココで勝負しに来る馬は激走傾向だと言えます。


△ダノンキングリー牡3戸崎54萩原(美浦)
▽ランフォザローゼス牡3北村宏54藤沢和(美浦)
上記展望に則れば、本気でG1獲りを狙える器でココは始動戦としての色が濃いダノンキングリーよりも、もうG1云々言ってられない立場のランフォザローゼスを買うべきレースなのが毎日王冠と言えますが・・・
ただ、ランフォザローゼスの近2走は諸々ファクターでは情状できないあまりにもの惨状ですし、ダノンキングリーは戸崎騎手騎乗だけにそこまで末脚勝負を挑むクチではない点でそこまで不安視できる馬でもないですし…ただダノンキングリーみたいな馬は例年の毎日王冠では如何にも少々差し損ねそうとは言えると思います。


▽アエロリット牝5津村55菊沢(美浦)
『昨春シーズンはVMではSペース先行で4着止まり、安田記念では相手強化にもかかわらずMHペース先行で2着激走…コレがコノ馬の本質』という話をしてきた馬です。
コノ馬の弱点は瞬発戦で、前走安田記念2着もスローペースで2着じゃないかと言われそうですが、ラップの中身を見れば4F目以降も11.3以下のラップ続きで、昨年VMとは質が違う一貫ペースだったと言って良いと思います(あくまでもそれはアエロリットについてで、3番手以降は明らかに車間距離をあけすぎのスローペースでした)。
今回も昨年同レースでのモレイラJ騎乗、又は数戦騎乗してコノ馬にとって丁度良い塩梅のペース配分を掴んだ戸崎J騎乗ならば…でしたが、今回はこれまでの騎乗騎手よりはワンランク以上落ちる津村騎手で。
個人的には津村騎手は全然下手とは思いませんが、ただアエロリットという超一線級馬をテン乗りでキチンと扱うといのは本当に一握りの騎手にしか難しいだろうと。
折り合いを欠いたら×だし、逆に恐る恐るの競馬でスローに落としたら△だし、とにもかくにも津村騎手の手腕一つでどんな結果も有り得るだろう。


▽インディチャンプ牡4福永58音無(栗東)
2走前マイラーズCはスローペースで折り合いを欠いたのと、必ずしも予定していなかった鞍での仕上がり途上分での敗戦。
前走安田記念は平均ペースで折り合いを付けられたのと、そして攻め強化メイチ仕上げの分で大きな変わり身を見せた形。
今回毎日王冠はその2走前マイラーズCのデジャヴが懸念される局面で、アエロリットの勇気ある逃げが無い限りはスローペース濃厚、そして大幅馬体重増からの帰厩で陣営は叩き台を明言。

また春には『こういう一瞬の脚を生かしての東京マイルG1馬と言えばアドマイヤリードが挙げられます。そのアドマイヤリードもVM制覇後はOP特別1勝に留まっているように、この手のスピード特化で勝負するタイプは選手生命はそこまで長くはない嫌いもありますので…向う長くトップに君臨し続けるイメージまでは沸きません。折り合い問題を抱えるだけに、ペースアップし辛い&折り合い重視騎乗に偏りがちな前哨戦鞍では取りこぼしそうなタイプでもあります。』と指摘した通りで、勝ち負け未満の結果の可能性が高いと見ます。


―ギベオン牡4岩田望56藤原英(栗東)
超HレベルだったNHKマイルC2着実績を思えば、その後に重賞勝利こそあるものの本来ならばもっと飛躍して然るべき…コノ馬もツイートの通り伸び悩み深刻な藤原英厩舎4歳世代馬との見方ができます。
また、藤原英厩舎の上級条件での岩田望J起用は、現状では非勝負所(ex,ディメンシオン)という印象です。

~同厩舎所属現4歳世代8強(賞金順上位馬8頭)の戦績経緯~
エポカドーロ(皐月賞1着&ダービー2着をキャリアハイに、3歳秋以降低迷中)
ミスターメロディ
ギベオン(NHKマイルC2着をキャリアハイに、4歳以降伸び悩み中)
レッドサクヤ(オークス4着をキャリアハイに、3歳秋以降休養中)
トーセンアイトーン(1000万下勝ち上がり後は準OPで連続凡走中)
グレートタイム(JDD3着をキャリアハイに、3歳夏以降低迷中)
フィニフティ(クイーンS2着をキャリアハイに、直近準OP連続大敗中)
シグナライズ(デビュー4連続好走からOP特別4着をキャリアハイに、3歳夏以降低迷して放出(転厩))


▲ケイアイノーテック牡4幸57平田(栗東)
まずは3走前根岸S有力馬診断を参照↓
『コノ馬はNHKマイルCのレース振りみたく助走距離が欲しいタイプの差し馬で、前走阪神カップでも初距離千四を忙しそうにして全く届かずのレース振りでした。それを見る限りでは距離千四適性には疑問アリです。
それよりもダートがあるのか否かが全ての局面でしょうが・・・母ケイアイガーベラがダート馬だったからとダ適性期待票が多い様ですが…実際には母ダ出身著名馬のディープ産駒はアゼリ仔やドバイマジェスティ仔など大勢居ながらも、現状はダ短距離出世馬は皆無という事実の方が重いでしょう。
ケイアイガーベラが国内で知名度あるダート馬だったせいでのニワカ過剰人気には飛びつきたくない。』
・・・
3走前根岸Sはダート適性と初砂被り競馬の分での大敗でノーカウント相当。
4走前阪神カップは距離不足千四と展開不利バイアス不利での6着止まり。
5走前走マイルCSではキレ負けと追走力不足での敗戦。
近2走は距離マイル高速決着でのスピード不足での敗戦。
どうも近走を見る限りでは生粋マイラーとしてのスピード能力には疑問アリで、ただしその中でも常にラストの脚を見せている辺りは距離延長路線に活路を求められるか…もう先を見据えて云々言ってられない立場で、ここで距離延長スローペース先行競馬ならばチャンスは生まれそう。


▲ペルシアンナイト牡5シュタル57池江寿(栗東)
3走前大阪杯は当時絶不調デムーロ騎乗で折り合いを欠いての自滅・ヤラズの格好、2走前安田記念はスタート後に大きな不利を被ってしまいあとは後方を回ってくるだけのようなデムーロヤラズ気味の敗戦、前走札幌記念は距離長い二千で強敵相手に僅差の敗戦。
近走の敗戦はどれも情状酌量要素あり、久しくベスト距離千八にまともなローテで挑めるココは楽しみもある。


―マイネルファンロン牡4柴田大56手塚(美浦)
2走前巴賞では控える競馬で折り合いを欠いて尚且つ展開不利バイアス不利も受ける競馬でした。前走函館記念ではそれを糧にして、今度はスンナリ先行競馬で折り合いスムーズでガラリ一変という、絵にかいたような本番レースに特化した戦い方をモノにしたという形に。
コノ馬は基本折り合いが付かない馬なので、逃げ番手か捲り競馬などでしか好結果を挙げられていない近況。それを馬の気のままに競馬させた後の次走というのは乗り難しいタイミングとなります。これで今回逃げの手ならば良いのですが、マイネル馬らしくコノ馬は逃げさせない方針が敷かれているはずなので(丹内騎手の戦法は大よそマイネル上層部の意向に沿うモノ)…今回は折り合い面とキレ負け面の懸念が大きい。


―モズアスコット牡5内田博57矢作(栗東)
まずは2走前マイラーズC時の予想見解を参照↓
『コノ馬の充実の4歳春シーズン(まで)を思えば、4歳秋シーズンは2着好走したスワンSを含めて“アラアラ”でした。
そのスワンSは色々敗因はあったにせよOP昇級後では最低のパフォーマンスで、マイルCSにしても不利はあったにしても本来の走りでなかったですし、その不調を引きずったままの海外遠征でも惨敗。
元より気性的に難しい面も抱えるフランケル産駒だけに、そこからの立て直しは簡単ではないはずです。実際に陣営からもこの中間から気難しさが出てきたとの談で、それにより太目も残って出てきそうな情勢です。
基本的に初戦から仕上げない傾向ある矢作厩舎の見え見えの叩き台であることからも、飛ぶ可能性が最も高いのはコレと見ます。』
・・・
結果的には有力馬診断タイトル「ソウルスターリング・ミスエルテ・シグナライズ…プッツン危惧血統フランケル産駒で初不振からの即立て直しは果たして?」の通りで、右回りや矢作厩舎休み明け云々や展開不利もゼロでは無かったかも知れませんが、何よりも根本にはフランケル産駒としての気性的限界を指摘せざるを得ないです。
上で名前を挙げた馬たちも一度崩れてからはかつての輝きを取り戻せていないワケで…それに準えればモズアスコットのこの先も暗雲が立ち込めていると言わざるを得ません。
(前走安田記念では6着に頑張っていたと思われるかも知れませんが、この様に気性が狂った馬は何も考えずに走れるペースならばそれなりに走れて、対して今回毎日王冠みたく緩急問われるペースでは気性難が邪魔をして難しいはずと言えます。)


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長距離戦だけに騎手も大きなポイント!
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