キムラヨウヘイ 皐月賞の有力馬診断

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

―ウインカーネリアン牡3田辺57鹿戸雄(美浦)
スクリーンヒーロー産駒らしく気難しさあるタイプで、2走前弥生賞では日本芝不適合ミナリク騎手で折り合えずに自滅の格好。前走自己条件戦では鞍上強化でまともなレース振りができての一変。
ただ、4走前2着にしても前走1着にしても、展開利もあっての好走で…仮に噛み合ってもG1級でやれる馬だとは到底考えられず。


―ガロアクリーク牡3ヒューイ57上原(美浦)
キンシャサノキセキ産駒。
同産駒は芝では明確に距離の壁があって、距離マイル以下と距離千八以上とでは大きな成績差があります。コノ馬はスプリングSでその距離千八を乗り切ったワケですが、頭の高い走法で直線追い風の環境下(差し有利状況)で一瞬の末脚だけで走り切った様なレース振りでした。
それ以前の2走はペースが流れたレースで凡走しており、その前の4走前勝利はスローペースからの切れ脚勝負での勝利。そういう末脚特化のレース振りへの適性が窺えますので、裏返せばそうではなくまともに持続力問われる且つ距離二千になる皐月賞では厳しいはずで。


★ヴェルトライゼンデ牡3池添57池江寿(栗東)
父ドリームジャーニーの産駒は小回りコース巧者を多数輩出する傾向で、実際にコース別のデータでもその[中山][小倉][福島]で良績⇔その逆に[東京][中京]で不振という結果になっています。

コノ馬のベストパフォーマンスはその2走前中山コースで渋とい脚を問われたホープフルSで、大箱コースの3走前萩ステークスではそれよりも大分劣るパフォーマンスでした。
前哨戦スプリングSでは勝ち馬にド嵌まりにしてやられましたが、距離延長とペースが流れるはずの今度は逆転濃厚で…実績上位にもかかわらず余力残しでの前哨戦敗戦で人気落ちするならば狙い目になり得る一頭に。


―キメラヴェリテ牡3藤岡康57中竹(栗東)
これまで逃げたレースでは4戦4好走、逃げられなかったレースでは3戦3凡走…先週桜花賞で穴をあけたスマイルカナと似た様な戦績推移の持ち主です。
ただし、逃げた場合には全勝で底を見せていなかったスマイルカナに対して、コチラは全勝ではなく全好走という点で魅力は大幅減。
前走若葉Sは内前有利展開を逃げて勝てなかった辺りは底が割れたパフォーマンスで…スマイルカナと同じくというワケにはいかないだろう。


―クリスタルブラック牡3吉田豊57高橋文(美浦)
キズナ産駒ですが、まるで典型的なエピファネイア産駒の様なこれまでのレース振り。
初戦も2戦目も最内枠を引きながらも大外一気の競馬での勝利。前走京成杯ではスタート後に馬込みでは激しく行きたがるシーンがあって、そこから一歩下げてほぼ単独最後方の様な位置取りになってようやく馬が落ち着きを取り戻した形でした。その上で外差しが利く馬場だったので、こういう豪快な勝ち方に至りましたが…鞍上が吉田豊騎手という点からも、恐らくこの後方で何とか折り合いを付けて、外に持ち出して末脚勝負という形は固定されるはずです。
今回は陣営は中団策を示唆していますが、恐らくはそういう器用な競馬はできないタイプで…それでいて非外差し馬場のフルゲート戦で大外一気オンリーキャラで足りる為には相当恵まれない限りは…。


―コルテジア牡3松山57鈴木孝(栗東)
前走きさらぎ賞は低レベル戦。
ブランド人気を背負うアルジャンナが3着だったので一定の評価もされていましたが、そのアルジャンナも次走毎日杯でも2着止まりで、劣化版サトノアーサー程度の馬だと底が割れている現状。2着ストーンリッジは早熟成績傾向強い一族で、早くも枯れかかっているという馬。それらをギリギリ下した程度の重賞勝ち馬ではG1級では足りない。


★コントレイル牡3福永57矢作(栗東)
★サトノフラッグ牡3ルメール57国枝(美浦)
△サリオス牡3レーン57堀(美浦)
―マイラプソディ牡3武豊57友道(栗東)
今年の皐月賞は、種牡馬リーディングで2トップを張るディープインパクトとハーツクライの産駒が有力勢の多数派を占めて、いわば2大勢力を形成する様相です。
ただし、現代の芝王道路線では欠かすことのできない両種牡馬の産駒ですが、活躍するカテゴリーについては被る傾向があるものの、活躍する時期については多少異なる傾向があります。例えばこの皐月賞でも、芝2000m条件と見れば両種牡馬の産駒が共に活躍していて良さそうな所ですが、実際にはディープインパクト産駒の好走(3着以内)は9例あるのに対して、ハーツクライ産駒の好走は0例となっています。
それは、クラシック血統ともいえるディープインパクトの牡馬産駒は、この3歳春シーズンにパフォーマンスを急伸させる馬が多いのに対して、晩成血統ともいえるハーツクライの牡馬産駒の相対的な成長期はもっと遅れてやって来るのが通例という“成長曲線”の違いが最たる背景と見られます。実際に、ハーツクライの牡馬産駒で2歳重賞を好走した馬の3歳初戦成績は[1-2-1-9]と平凡なデータとなっている通りで、完成度の高さから2歳時から走れた馬でも、3歳春シーズン前半は伸び悩む馬が非常に目立ちます。

マイラプソディについては、2歳時快進撃も共同通信杯で案外に終わったハーツクライ産駒としてはグレイルと被りますが、まずはそのグレイルの皐月賞6着後の回顧文をご参照下さい↓
『グレイルは如何にも更に距離が延びればと思える競馬でした…ただコノ馬の真価発揮はダービーよりも先の未来の方にある晩成ハーツクライ産駒と思います。
そう言うと2歳重賞を勝ってるじゃないかと言われそうですが、ジャスタウェイなんかもそうですがハーツクライ産駒は意外な程に2歳時は走れて→ただしそこからクラシック時期には成長思いの外で→古馬になって上昇顕著というのが一つのパターンです。
同世代で言えばゴーフォザサミットなんかも2歳時百日草特別では強い勝ち方をしたワケで、そこからの伸び悩みこそがハーツクライ産駒の成長力の類型であると。
この時期にハーツクライ産駒の成長力を持ち出すのは少し違うはずなので…。』
・・・
ハーツクライ産駒(牡駒)は2歳重賞で活躍する馬もタイムフライヤーやアドマイヤエイカンなど増えていますが、それらがクラシックシーズンでも成長を見せた例は寧ろ少数派というワケです。
既にその赤信号が灯ったマイラプソディは危険馬、そして蓋を空けてみなければ例外馬なのか判別付かないサリオスも全幅の信頼は置けぬ一頭と見ます。

それに対して、ディープインパクト産駒としてこの時期の成長力が見込めるコントレイル・サトノフラッグの方こそ、より信頼に足る買うべき馬だと見られます。


★ダーリントンホール牡3Mデムー57木村(美浦)
2走前札幌2歳ステークス回顧で『バイアス不利最内枠から、やや前目の位置取りから、道中退かされる“3重苦”の競馬。同じ父の産駒ではベストアプローチがいるが、例の日本馬では善戦ホースを多数輩出のガリレオ系馬だけに、次走以降もレベル低いレースでは取りこぼしが・レベル高いレースでは健闘結果を残して行きそうなタイプ』と記しました。
2走前の自己条件戦での取りこぼしは正にソレで、そこから前走共同通信杯ではタフなレース質の重賞レースになって相対的にパフォーマンスを上げてきたのもソレらしい結果でした。
その前走程度のパフォーマンスではG1級では厳しそうですが…この血統ならではの“相手ナリ好走力”を発揮できれば圏内のチャンスが見込める一頭とも見られます。


―ビターエンダー牡3津村57相沢(美浦)
前走共同通信杯では、巷ではエンの逃げが想定されていたが、本来は逃げ戦法を好まないラフィアン系馬(岡田繁幸氏所有馬)且つ指示遵守騎乗の柴田大知J騎乗だけあって無理に控える格好に…それでビターエンダーが押し出される様に逃げる格好でした。
ミナリク騎手については、昨年「芝では位置取りゲームでしか来ないミナリクJ(芝2番手以内[複勝率32%]⇔3番手以下[複勝率7.6%/複回値29%])」というデータも紹介してきましたが、後者で率が低いのは下手だからですが、前者で率が高いのは上手いからではなくて(自ら前に行く騎手ではないので)こういうラッキーが含まれるからです。
このレースでも前意識低めのミナリク騎手は逃げる意思は全くなさそうでしたが、押し出されて(抑えられなくて)やむを得ず逃げる格好で…自ずと超スローペースで展開利が得られたという好走でした。
先週NZTではミナリク騎手リターンのウイングレイテストの激走がありましたが、ビターエンダーの場合にはミナリク騎手騎乗でも十分に恵まれての好走だった点でそれと同列には扱えません。


―ブラックホール牡3石川裕57相沢(美浦)
ゴールドシップ産駒は平坦且つタフ馬場の札幌函館小倉では好走率5割級と走りまくっており、その次点で走るのが福島京都で、阪神中京中山の急坂コースでは振るわないというここまでの傾向。
重賞勝ちを収めた札幌2歳Sは、ゴールドシップ産駒がワンツーを決めた通り相当向いていた条件だったのに違いなく、その実績は過信禁物。
この中山二千コースでは、良馬場だったホープフルS9着から、道悪だった弥生賞では4着にまでパフォーマンスを上げて来ましたが…そういう得意馬場になっても好走圏内まで届かなかった馬と見れば更なる期待は難しくて。


―ラインベック牡3岩田康57友道(栗東)
母アパパネのネームによって過大評価され続けている現状。
4走前中京2歳Sは2着以下は未勝利馬ばかりという実質未勝利クラス戦レベルの一戦で、3走前東スポ杯3着も2着馬アルジャンナよりも0.7秒差付けられた完敗で、2走前ホープフルSも前走若駒Sも全く大したコトのないパフォーマンスでの敗戦。
実態よりも見栄え良い馬柱(着順)に収まっている分だけまだ一部で期待を集めるのでしょうが、冷静にパフォーマンスを評価すれば何てことも無い一頭としか言えません。


―レクセランス牡3北村友57池添学(栗東)
当初はデビューから3戦手綱を取っている川田騎手で挑む予定でしたが、急遽阪神での騎乗を優先するとのことで騎乗予定破棄。
それは単純にレクセランスへの評価・期待度の低さの表れだと受け取れます。
レクセランスはこれまで3連勝中ですが、馬自体は相当乗り難しいタイプだけに、何れにしても川田騎手が相当に慎重に乗っての辛勝でした。そういう意味では底を見せていない魅力はありますが、それ以上に激戦フルゲートG1になってテン乗りになって、まともな競馬ができるのか…特に騎乗停止に敏感になっている北村友一Jにとっては勝利云々よりも真っ直ぐ走らせるコトに大分神経を使わなければならないはずで…。

ダートに主戦場を移して完全に息を吹き返したクリンチャーはどこまで通用するのか?
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