キムラヨウヘイ 菊花賞の有力馬診断の総まとめ(後編)

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

△エタリオウ牡3Mデムー57友道(栗東)
左回りの青葉賞とダービーでは大きな問題無かったものの、右回りでは散々悪癖を見せてきたこれまでで…それは秋初戦神戸新聞杯でも解消せずでありました…これは次走以降も毎度続く可能性が極めて高いはずで、今回も同様でしょう。

スワーブリチャードの右回り克服例もあるG1ハンターデムーロ騎手ですから無策ではないでしょうが、それでも外野から考え得るは常識的には消極的な騎乗になるか、大外ブン回しなど戦法が限定されてしまうはずで。そもそも、前走神戸新聞杯にしても少頭数立ての大外追い込み競馬にも拘わらず、他馬に不利を与えてしまうという回避難しい度合い強めの事象でした。

デムーロ騎手ならば本気でG1獲り狙うならばミラクル騎乗の望みもありますが、騎乗機会2週連続で騎乗停止級(先週日曜最終レースは過怠金10万円でギリギリセーフ)を起こしている不調デムーロJはそれができる状態なのか…奇策通じぬ菊花賞の舞台条件という点でも推し辛いです。


△エポカドーロ牡3戸崎57藤原英(栗東)
●[藤原英昭厩舎の月別成績]

●[藤原英昭厩舎の夏以降の重賞成績]
宝塚記念 ステファノス11人7着
宝塚記念 パフォーマプロミス4人気9着
中京記念 ガリバルディ11人7着
レパード グレートタイム1人6着
新潟2歳 エイカイキャロル7人10着
新潟記念 グリュイエール2人10着
ローズS フィニフティ9人12着
セントライト ギベオン3人13着
神戸新聞 エポカドーロ1人4着
毎日王冠 ステファノス8人4着
府中牝馬 メイズオブオナー10人8着
東京HJ ルペールノエル1人4着
春まで26戦11好走→夏以降12戦0好走

18年は各種調教師成績でリーディング独走してきた藤原英昭厩舎ですが、実はここに来て勢い急失速中です。
夏後半から成績を落とし続けており、その平均人気を見ての通り馬質(?)は変わらぬ中で着順だけ落としていますので、過剰人気=危険人気傾向の最中と言えます。

平場だけでなく重賞レースでも同様…特に厩舎好調期の春に実績を残した馬で、秋の立ち上げ初戦では軒並み失敗しています。
それが一過性で収まるのか、厩舎の不調の最中でも例の本番メイチ仕上げは炸裂できるのか…ダービー終了時時点では馬は菊花賞で買いたいと見込んでいたのですが、厩舎云々とオルフェーヴル牡駒の未知さで確信は持ち辛いです。


▽ジェネラーレウーノ牡3田辺57矢野英(美浦)
まずは皐月賞回顧文を参照↓
『…何が何でも逃げたい内アイトーンと鉄砲玉の外ジュンヴァルロに挟まれるポジショニングで相当厳しい競馬を強いられました…それはペースを見れば明らかですが、ただしそこで引かないで馬のリズムを重視した騎乗をした田辺Jの判断は寧ろ良かったのかも知れません。
内も外も無理をした積極競馬だったのに対して、コノ馬だけはHペースだとしても気分良く走れていたのがとても印象的でした…気難しい面ある馬でレース振りに相当注文が付くタイプなので、常識的にはもっと下げた位置取りが理に適うワケですがそこでまともに走り切れていたのかは全くの未知ですので』
・・・
皐月賞はHペース先行で激走、ダービーはSペース先行で失速、セントライト記念は平均ペース先行で激走。
つまりは如何に気分良く行けるのか、折り合いを付けた先行競馬ができるのかが全てと言って良いと思います。
皐月賞のあの地獄ペースの後に真逆ペース替わりは馬には酷な条件替わりだったでしょうし、セントライト記念は休み明け初戦も功を奏しての一変劇でした。

さて今回菊花賞では…可能性としては前哨戦よりも緩い流れに対応しなければならない可能性が高いです。また、当時はこの日に中山芝で4勝を挙げていた中山マイスター田辺騎手の的確なペース判断もありました。
距離延長分と馬と騎手にとっての京都コース替わり分を考えると…楽観視はできないかと。


▽グレイル牡3岩田57野中(栗東)
▽コズミックフォース牡3浜中57国枝(美浦)
ジェネラーレウーノが強い2番手押し切り競馬をしたセントライト記念で、それに完敗競馬だった2頭。

コズミックフォースは立場上ジッとしているワケには行かずにやや前掛かりの競馬だったのは勿体なかったですが…それにしても言い訳はできぬ7着という着順。菊花賞で好走するのはダービー激走馬ではなくて皐月賞激走馬の方ですし、菊花賞タイプでも無さそうなのでココで変わるかと言えば…。

グレイルは詰まりつつの見た目勿体ない競馬でしたが、二桁人気で善戦したオウケンムーンやレイエスプランドルが共に二桁通過順位からの追い込みだったコトからも、あそこで脚が溜まっていたのは功を奏した感があります。
皐月賞でもダービーでもセントライト記念でも最後方に近いポジションで競馬している辺りは、まだそれしかできない未完成ハーツクライ産駒として軽視したいです。


★ブラストワンピース牡3池添57大竹(美浦)
ダービー時にも最後まで推奨候補だった一頭…結果的には5着止まりでしたが、世代頂点に限りなく近い評価もできるパフォーマンスだったと見ています。
大型ハービン産駒でしかも太目残りで俊敏な動きはできない段階…それは瞬発力が何よりも大事なダービーでは苦しい適性馬でしたから…その資質の分もあって脚を余す結果となりましたが、仮に脚を余さぬスパートができていれば3着以内は当然見込めた競馬をしていました。

また、近年ダービーでの[内枠][先行]での穴激走馬を全て挙げると、直近年から「マイスタイル・エアスピネル・サトノラーゼン・マイネルフロスト・アポロソニック・ペプチドアマゾン」…つまりはそのダービー激走はフロックだったと言いたくなる様な、その後の戦績案外馬ばかりという有り様です。
逆にダービーをキチンと差して好走した馬はその後も信頼が置けるというコトです。

その後者に値するコノ馬は…この菊花賞でも少なくとも能力最上位級で、距離適性的にも問題はない点で…時の展開や枠順次第のレースという側面もあるので必ずしもではないですが、勿論有力な一頭と見ます。


━━━(前編)はこちらに掲載しています。