キムラヨウヘイ スプリンターズSの有力馬診断の総まとめ(前編)

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

★ラッキーバブルズ セン7プレブル57ルイ(香港)
今春高松宮記念で来日した香港馬ブリザードは、現地での評価は二流馬だったにも拘わらず、日本ではトップクラスの実力を見せました。結果5着止まりだったと思われるかも知れませんが、それは騎手の差(ティータンJ)が全てで、もしも日本騎手を擁しての高松宮記念参戦ならば3着内に来ていたはずと見ています。
そのブリザードと遜色ない能力を保持しているのがラッキーラブルズで、騎手もティータンよりも日本で成績を挙げているプレブルならば…十分チャンスある一頭でしょう。


―ヒルノデイバロー牡7四位57昆(栗東)
まずは前走キーンランドC時の有力馬診断見解を参照↓
『コノ馬は他馬を気にする面がある馬で‥・
例えば昨夏は[UHB賞で少頭数競馬でスンナリ好走→キーンランドCは内枠競馬で逆噴射→オパールSは外枠先行で巻き返し]という経緯だったり。
その次のスワンSは再び内枠を引いて危うい局面だったが、主戦騎手としてようやく癖を掴んでいた四位J騎乗だったのと、全馬が外に持ち出す形だったが故に極端内枠ながらもノーストレスの競馬が叶うという幸運あっての2着激走だったり。
3走前2走前は非スンナリで連続ワケ有り敗戦で、そこで人気底値と◎を打った前走函館SSでは「序盤から出して行って上手く外好位の揉まれぬ位置取りを確保して、ハイライトは4コーナー…あそこで包まれたら終わりというトコロでライトフェアリーを突き飛ばしたシーンが最大の勝因と言って良いでしょう…こんなスンナリとした競馬ができた際には常に安定結果を残せていた馬なので、今後もそれが最大の取捨判断要素になるでしょう。」という四位Jファインプレーでの一転激走でした。』
・・・
昨年もキーンランドCの前のレースではスンナリ先行競馬で好走で、そしてキーンランドCでは内枠出負けで何もできずでした…本年もそのデジャブかの様な負けっぷり。
もう一つ共通項を挙げると、共にキーンランドC前の調教では明らかに時計を出せていませんでした。

その昨年のキーンランドCの次走オパールSでは、一転して中間好時計連発で巻き返しで、こういう気難しい馬だけに、そういう調教時計を積める状態にあるのか否かも見極めのヒントになるのではないかと見ます。

その観点では今回は一転走れても良さそうですが、ただしやはりスンナリが最大のキーとなる馬にとって、激戦フルゲート多頭数G1レースは確率低い局面になってしまいます。大外ブン回しでも足りる程の抜けた能力もないだけに…。


★ナックビーナス牝5モレイラ55杉浦(美浦)
コノ馬は常々“距離1200で内(イン)で競馬をすればパーフェクト戦績”と書いてきました。
それには非内(非イン)の競馬をするとすぐ気を抜きがちで力を出し切る競馬が難しいからなのですが、ならば“逃げの手”はあまり宜しく無いのではないかと思われる(思われた)かも知れませんが…逃げの手はアリなんですよ。

その逃げの手の有用性については、一応昨年キーンランドC回顧当時にも書いていますので、そちらを参照下さい↓
『ナックビーナスは内枠巧者で、馬群を抜け出す形か、ラチを頼る競馬を得意パターンとしている。
前走高松宮記念はそれと逆行する競馬での8着健闘で、一転して内目枠から逃げならば重賞好走くらいはやれて当然の馬…それでも3着止まりだったのは、やはり太目残りは否めなかったし馬場バイアス的にも内逃げ競馬が不利だった点でそれを踏まえれば寧ろ褒められる結果だろう』

コノ馬がこれまで散々勝ち切れなかったのは集中力の問題…前走キーンランドCについては外枠を引いてしまって「馬群内競馬」は難しくなりましたが、そこで「ラチ沿い逃げ」という第二の激走パターン競馬を選択してきたならば…という結果だと思います。
もちろん戦法だけではなく、モレイラ騎手の手綱によって最後まで走らされたという側面もあるかも知れません。

今回スプリンターズSに於いても、やはり「内の競馬(馬群の内という意味とラチ沿い逃げの意味)」が叶うかどうかが最たるポイントになるでしょう。

仮に再びハナを奪いに行くとしても、同型揃うココで高確率でそれが叶うかと言えば否ですし、またそれが無理だった時にモレイラの騎乗パターン的に内の競馬を選択してくるのか…もう一丁というのはそこまで簡単な話ではないと思います。

また、昨年スプリンターズSでも除外を食らって、その後も賞金積み上げに苦労していた通り、今回キーンランドCで賞金獲得しなければスプリンターズS出走は絶対ではないという立場でもあり、だからこそのモレイラ起用でもあったでしょう…余力の面でもディスアドバンテージはあります。


▽アレスバローズ牡6藤岡佑57角田(栗東)
つい3走前鞍馬Sでは四位J起用で最後方折り合い専念競馬が施された通り、折り合い面に相当難を抱えていた馬。
それが前々走CBC賞と前走北九州記念はJRAスプリント重賞としても屈指のHペース競馬となったのが何より有難かったはず。北九州記念ではそれに加えて内有利気味馬場でスムーズに最内を突かせて貰えた恵まれたレース振りも、対ダイメイプリンセスで言えば功を奏した勝ち切り結果でした。

今回も折り合い面が鍵になってくるはずで、それについては『今の芝上級条件スプリントレースはスローペース化傾向があります…それはスプリンターズSでも例外ではなく』と前走後に書いたのですが、どうも直近の傾向としては多少揺り戻し傾向が見受けられます。また黒船モレイラ来日騎乗もそれを助長する要素でしょう。
馬場改修後から昨年までのスプリンターズSでは飛ぶべきタイプの馬(千二特化・差し脚質・折合△馬)ですが、本年ならば三度目の嵌まりも警戒すべきかも知れません。


▽レッドファルクス牡7戸崎57尾関(美浦)
スプリンターズS連覇中で、偉業3連覇に挑むというレッドファルクス。
ただし、その連覇した2年はスローペース傾向真っ只中のレースでした…昨年もレース後に『今回のペースでも追走に苦労したというデムーロ談ありますし、やっぱりもっとペースが流れてもっと決着時計が速まった時には死角生まれたはずです』と書いた通り、非Hラップだった分で本質的スプリンターではないレッドファルクスにも出番が生まれたという解釈をしたいです。
単純なHペースは差し有利・Sペースは前有利という話ではなくて、Sペースだから時計が足りて・Hペースだと時計不足・スピード不足という話です。

また本質的スプリンターではないと書きましたが、その上で更にズブさが増しているのが本年のレース振りです…前走距離マイルからの距離短縮ローテとなる点もどうかですし、本年は苦しい戦いが予想されます。


★レッツゴードンキ牝6岩田55梅田智(栗東)
コノ馬の近1年の好走歴はスプリンターズS2着・スワンS3着・高松宮記念2着。
そのスワンSは着順こそ好走ですが、その前のスプリンターズSからは大きくパフォーマンスを落としていますし、それは馬体重大幅増の舐めたデキだったコトからも明らかです。
つまりは、コノ馬の最近はスプリントG1しか本気レベルの走りをしていないという…逆に言えばそれ以外では並レベルの走りしかできていなくてもG1ともなれば話は別でキチンと上げてくるとも言えます。

後者だった前走で2人5着でしたので今回人気落ちは限定的かも知れませんが…やはり今年も本番スプリンターズSではマークは外せぬ一頭でしょう。


━━━ (後編) へ続く。