今井雅宏「重賞ステップ解析」クイーンS

先週のアイビスSDでは前走で勝負付けが済んだと思われていた◎ジョーカナチャンがMの法則でライオンボスを逆転!
昨年のクイーンSでは本命のスカーレットカラーが死のステップから2着。データの例外が走る瞬間をキャッチしなくては、データ分析をする意味がない、と今井氏は語る。

重賞ステップ解析とは

今井雅宏氏と編集部が先週の結果を分析、そして今週行われる重賞の過去3年を振り返る対談形式のコラム。
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;重賞のアイビスSDは、本命が勝って単勝780円、馬単2190円も2点目的中でした。今週のクイーンSも、昨年5番人気だった人気薄の本命が2着に突っ込んでバチッと当ててますし、この調子で今年もよろしくお願いしますね!他に日曜の勝負レースは、新潟最終も、本命対抗で決まって馬連2230円が1点目的中、3連複は2点目、3連単の万馬券も9点目ですが的中しました。土曜は燕特別で、馬単3950円が2点目、3連複3470円が1点目、3連単18740円の万馬券もズバっと2点目での的中でしたね。やっぱり当たるときは万馬券でもなんでも、2,3点目以内、特に2点目以内の的中が多いですよね~。

;そうだね。いつも言ってるように、2,3点目以内を厚く買って、あとは高配当や馬体重とかの当日条件が合っている買い目に流すのが基本だよ。

;今週も当たったレースは、馬体重がきっちり良かったですもんね。馬場、馬体重が合ってるレースって限られるんで、逆にドバッと勝負するレースも絞れて良いです。では、アイビスSDの解説からお願いしますね。ジョーカナチャンの本命は直ぐでした?

;パッと見は、ゴールドクイーンとビリーバーだったかなぁ。

;ゴールドクイーンなら、僕と同じじゃないですか。やっぱりM的には良かったんですね(笑)。僕は縦目の的中になっちゃいましたけど。ただ、共に最後は66点でしたね?

;ゴールドクイーンは、ちょっと調教とか見てみると状態悪いかなって感じだった。それで牝馬の56キロは酷かなぁと思ってね。状態悪くて牝馬の56キロで久々の芝替わりだと、自慢のダッシュが付かないんじゃないかな、という判断だった。ビリーバーは活性化がどうかということだったよ。昔は先行してた馬なんで、無理に抑えているんなら鮮度が高いんでパッと見はM的に面白い馬柱なんだけどね。それで近走を調べてみたら、差す競馬を覚えさせているうちにダッシュ力自体が薄れた可能性があるというのが最終判断だった。結局、外が上手く開いたこともあるけど、ついて行けちゃったわけで、これは僕の判断ミスだったかな。鮮度の高い馬は怖いよ。それと、基本断然人気が入っている辺りの馬番は、天候の急変がなければ、最も有利な馬場設定の予定になってる場所の可能性が高いということでもあったよね。
;で、最終的に本命はジョーカナチャンでした。

;パッと見はストレスがあるかと思ったけど、よく見てみると初重賞で鮮度が高いし、ここ3戦で直線競馬は1戦だけだし、前走の直線競馬は負けてるし、春以降は1戦のみということで、鮮度が十分に高いという判断だった。あと、少なくとも同路線の1番人気ライオンボスや3番人気ダイメイプリンセスとかには負けないってのが大きいかなぁ。同路線のライオンボスとかの人気馬に負けないんなら、とりあえず上位は堅そうだし(笑)。他の別路線で面白そうな馬も、ショックが嵌まるかどうか微妙な割に穴人気だし、それなら断然人気のライオンボスには負けない予定なのに、単勝で7~8倍もついていれば馬券的に十分ということだったよ。

;前走で勝負付けが済んでるという向きも多かったと思いますが?

;前走はジョーカナチャンが外枠で、斤量も軽くて負けたからね。今回は逆に不利な内側に入って斤量も不利になったから、逆転はないということで、単勝で7.8倍もついたんだよね。でも、直線鮮度、重賞鮮度が2頭では全然違うから。確かに間隔開いて年内2戦のみで、連対したのも年内1回だけだから、ライオンボスも疲労面では有利だけど、ストレスレベルが全然違うから、今回に関しては、M的には普通に考えてライオンボスには負けない予定だったよ。これは単純な計算上の差し引きで出る答えだから、逆に信頼性は高い。M的な計算式でだけどね(笑)。スタートで、よりによって対抗のイベリスとぶつかってダッシュが遅れたのにはさすがに焦ったけど、結局自ら二の脚でライオンボスに蓋をして負かしにいって完勝だったからね。斤量や枠といった物理的な条件面より、ストレスの方が重要ということを端的に表したレースだったんじゃないかな。ライオンボスはなんの不利もなく枠なりに先行して、ジョーカナチャンは中枠からぶつかって出遅れた後、あれだけ強引に外によっていって無理矢理先行しての結末だからね。前走比では、当日の物理的な優位さは、断然ライオンボスが上だったのにだ。

;やっぱりストレスは怖いですよね~。では、今週は2年連続の的中を狙って、クイーンSです。
 19年は、ヴィクトリアM8着後だった1番人気ミッキーチャームが勝ちました。ヴィクトリアMは凡走馬だけ登録してますね。

;ヴィクトリアM6着以下だと、18頭中6頭が3着以内だよ。前走3角5番手以内だと、10頭中4頭が3着以内と率が上がる。先行馬の延長という、Mの基本的位置取りショックだね。ただこのタイプで人気で消えた馬も結構いるから安心できないけど。このタイプで、2走前に連対している馬だと、6頭中4頭が来ている。2走前のストレスで連を外してストレスの薄れた、これもMの基本タイプだね。ただ人気薄で4着に好走した馬は、2走前12着惨敗だったけどね。その馬は、前走1番手で2走前は12番手。位置取りとか条件とかに躍動感、S質を刺激する仕掛けがあれば、巻返し力は高まるというのは、どのレースも同じだよ。このパターンで来なかった2頭は、2走前も1番手と2番手だった。ある程度は馬群で我慢も出来る先行馬、ないしそういう経験を近走でしている先行馬がベターな感じだね。
 前走3角6番手以降だと、8頭中2頭が3着以内。その2頭は9番手で、9番手以内なら、4頭中2頭が来ている。後ろでも、ある程度は活性化されている方がベターだね。それと同じような理由で、来た2頭の2走前は1400mと1600m。別に長い距離でも構わないけど、何かしら刺激を与えて活性化した馬がベターだ。3走前は長距離で前年になるジャパンCと、中距離だけどOP特別の馬。逆に来なかった6頭は、1400m~1800mの古馬重賞で、うち4頭は牝馬限定戦。芝中距離の同路線トップクラスカテゴリーストレスは薄い方が有利なのは、別にこのステップに限った話でもないけどね。

;2着のスカーレットカラーは、マーメイドS3着後の5番人気でした。この人気薄が本命だったわけですが、このゾーンは良いんですか?

;マーメイドS3~5着は、ハンデ戦になってからは、7頭中1頭のみが3着以内だよ。つまり、この馬が初めての好走馬だね。それどころか、当日1番人気になった馬も2頭出走して、ともに8着に惨敗して、人気を大きく裏切っていたよ。

;まさにそれまでは死のステップだったわけですね(笑)。どうして本命だったんですか?

;データ通り予想しても面白くないからね~。というか、データの意味を考えないと、データ分析なんて価値がないよ。データの例外が走る瞬間をキャッチ出来ないと、分析じゃなくてただの無意味な結果の話で、わざわざ僕が時間割いてやる仕事でもないしね。統計データなんていくらでも恣意的に切り取って作れるし、なんの意味もない。コロナなんかで、みんなも実感したと思うけどね。連続性を持つ数字の絶対数が分析するには如何にも少ない場合、データだけ並べてみても仕方ない。それで何かを見るには、その本質がなんなのかをしっかりと見ないと、予見性を持つことは出来ないよ。本にも書いたことだけど、その本質を切り取る作業が、ここでやってることだからね。先週のアイビスSDの解説でも、韋駄天S組で勝ったのは2走前が1000万で、3走前がダートのライオンボスだけだって話だったでしょう?

;そうですね。安定感は高いけど、勝ち切ったのはライオンボスだけということでした。

;つまり、鮮度が高い馬が有利ということだよね。そう考えれば、データが少し違っても、重賞初挑戦のジョーカナチャンが有利ということは分かる。データ解説が意味してるのは、そういうことだから。同じステップのダイメイプリンセスやライオンボスに負けるシーンは、M的手法のデータ分析的に、相手の有力馬が出遅れるとか、前がスパッと開くとかのラッキーがいくつか重ならないとかなり低いということになる。データの例外だった昨年のライオンボスが強かったから勝ったんじゃなくて、ステップが例外的だったということだよ。もちろん、標準的な実力も必要ではあるけどね。

;なるほど。ところで今井さんが本命にしたスカーレットカラーはどうだったんですか?

;同馬は2走前が準OPだった。2走前が条件戦だった馬だと、3頭中2頭が4着以内には好走しているよ。似た重賞で好走しているわけだから、もちろんカテゴリーストレスは薄い方が有利だ。あと同馬は前走3角10番手。似たような条件で連を外してから巻き返して連対するのを狙うなら、極端な脚質が嵌まらなかったタイプの方がより面白い狙いになる。あるいは位置取りショックとかだよね。

;3着のカリビアンゴールドは、準OP2着後の9番人気でした。

;芝の準OP連対馬は、14頭中5頭が3着以内だよ。来た5頭は前走3角5~8番手だった。ある程度馬群で我慢出来るタイプの方が、相手強化の小回りで追走に負荷が掛かるリスクは少なくなる感じだね。あと来た馬の5頭中4頭が2走前1600mだった。前走条件戦を我慢している馬だと活性化が弱いんで、忙しい条件を近走でしている方がベターだ。ただ2走前2000mで前走も2000mの馬も1頭来ているから、絶対的な話でもないけど。その馬は前走8番手だったけど、内回りの16頭立てだから、それなりにタイトな経験だった。それにC要素があるフジキセキ産駒だったしね。活性化が弱い場合は、C要素はあった方が良いだろう。雨で重くなったりすると、また話は違ってくるだろうけどね。





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