キムラヨウヘイ「エリザベス女王杯の有力馬診断の総まとめ(前編)」

▽ルージュバック 牝5 ムーア 56 美南 大竹
昨秋チャレンジカップの有力馬診断表題→『今秋G1戦線でムーア起用が劇薬毒薬となり副作用を起こした馬…JCリアルスティール・チャンピオンズCノンコノユメ・そしてエリ女タッチングスピーチ』
本年フェブラリーS有力馬診断の表題→『※劇薬※ダート戦でのテン乗りムーア起用の副作用をモロに食らったチャンピオンズCノンコノユメ…それは今回はモーニンの番!?』
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ムーア騎乗でリアルスティールはJC2人気5着、タッチングスピーチは4人気8着、ノンコノユメ4人6着、モーニンは3人気12着でした。
一見するとG1でムーア騎乗=鞍上最大強化と見られるでしょうが、ムーアJだからと言って全てが全てプラスに転ぶというワケではなく、上記で名前を挙げた馬の様にムーアJの常に勝ちに行く騎乗に応えられない様なタイプの馬だと寧ろ逆効果になるというコトもままあります。

条件クラス馬で言えばアバオアクーやラインフェルスなんかは、それまでは美浦の非一流主戦騎手の意思疎通を大事にした継続騎乗で勝ち切れないまでも常に安定成績を積み重ねていたのが、乗り替わりムーアの劇薬騎乗で馬が嫌気を差して大敗してその後成績不振に陥ったり…それだけムーアJの騎乗は良い意味でも悪い意味でも効果が大きいのだと思います。

今回のルージュバックの場合に果たしてムーア起用が功を奏するかですが、もう失うモノが無い(もう引退間近で目先だけ考えるべき)ならば劇薬でも一発チャレンジするのは否定はしませんが(もし普通の好走が欲しいなら北村宏J継続騎乗の方が可能性高いはずですが、ココまで来たら1着しか意味無いですから)…でも、これだけストライクゾーンが狭い競走結果・精神的に脆さ出してきたルージュバックはムーアJの剛腕騎乗に応えられない方に位置する馬だと言うのは否めないと思います。
前走オールカマーがそれまでとは一皮むけた競走結果・競走内容なので、アレが本当にコノ馬の成長によるモノだとしたら今ならムーア騎乗を味方に付けられる線もあるっちゃあるのですが…その一つだけのサンプル数では確証は言えないトコロです。

―タッチングスピーチ 牝5 松山 56 栗東 石坂
新馬戦を除いた好走歴は全て距離2000以上で、それも馬場が渋った方が良いという鈍足ディープ牝駒…それは古馬になるに連れて顕著になっており、結局はOP戦線で間に合ったのは下り坂京都且つ渋化馬場の2戦だけ。
荒療治とも言える洋芝北海道2600起用した前走丹頂Sでも7着というのは完全に終わった馬と見るべきだろうし、相変わらず揉まれ弱い挙動(精神的欠点)を見せていたのもフルゲート頭数増える一戦になって困るだろうなと。
余程の道悪馬場にならない限りは…いや、それでも足りる根拠は見出せない現状です。
(もしかしたら、コノ馬も昨年エリ女(4人8着)でのムーア起用(スパルタ騎乗)の被害者の会の一員なのかも知れません。)

▽エテルナミノル 牝4 四位 56 栗東 本田
本年1走目阪神牝馬Sは馬券外という結果だったが、先着を許した相手は今春のG1激走馬のみ。決して楽なペースでも楽な馬場(バイアス)でも無かった中なので強さを認めたい所だ。
2走目福島牝馬Sは小回りコースで窮屈な形を強いられて全く力を発揮できずの凡走。
3走目準OP2着は1着シルバーステート・3着タツゴウゲキという並びが全てです…。
4走目クイーンS5着は内有利馬場の完全内枠決着を蛯名大外枠枠ナリ競馬は如何にも厳しい競馬だった。
5走目準OP1着は0.7秒差圧勝。
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これら5走を振り返ると…外回りコースで伸び伸びと走れた時はやはり強いパフォーマンスをしているし、逆に小回りコースとなると不器用さが仇となり能力半減結果になりがちだと言える。
ココも外回りコースというのは力出せる舞台条件と言えそうだが、直近激走歴の前走&3走前はそれに加えて8~9頭少頭数立てという共通点もあった…さすがにこの未知距離では積極的な競馬は難しいはずで、フルゲート多頭数戦での好走絶対条件であるスンナリが高確率で見込めるとまでは言えないか。
バテないタイプなので京都良馬場競馬だと決め手ある馬に優位に転ぶだろうし、かと言って得意道悪競馬だとしても本質的なスタミナ面で強調まではできない。

―トーセンビクトリー 牝5 アッゼニ 56 栗東 角居
トゥザグローリー・トゥザワールドの下という中山巧者を多数輩出の血筋。この血統らしく小回り中山コースでパワーと機動力を存分に生かしたのが、今春中山牝馬Sでの激走であり、そして今夏クイーンSでの激走であった。
その後の前走府中牝馬S5着止まりの通り、その小回り系コースでないと大した馬ではないと言わねばならない。
また、6走前アンドロメダSでも1人気裏切る8着凡走している通り気性面の若さによるポカは昔から多い馬で、直近の好走歴は全て間隔を空けたタイミングで、以前から随分結果出せていない続戦ローテもマイナス材料だと見られる。


―クロコスミア 牝4 和田竜 56 栗東 西浦
前走府中牝馬Sでは実績馬(G1実績ある斤量56キロ馬)3頭をギリギリで凌ぐ逃げ切り勝利。
クロコスミア自身も決して逃げを主張する姿勢ではなかったが、前哨戦位置付けで有力馬ほど後方に位置を下げる形の完全スローペース展開で、更には他先行勢が誰も逃げたくないとの強い意思を見せて序盤1Fが極端に遅い流れに…番手以降の手綱引っ張り合いはその後も続いて単騎逃げクロコスミアにとってはこれ以上ない楽な逃げ展開に。最後にクロコスミアに詰め寄った2着馬3着馬は共に詰まって仕掛け遅れており、自身の力というよりも周囲がどうぞ逃げ切って下さいとのお膳立てが完全に整っていた故のこの結果だった様にも見える。

3走前クイーンSみたく同型が居れば簡単に逃げ譲る陣営の姿勢で、となると途端に大したコトない馬へと成り下がる…テン乗り和田Jになるが果たしてそういう逃げ拘りを持って臨むだろうか…。

また、根性で走る小型ステゴ牝駒で、コノ馬の激走回は休み明け初戦時に集中している…そう間隔空かない今回はタイミングではないかも。


━━━続きは木曜日の(後編)で掲載します。お楽しみに!

プロフィール

キムラ ヨウヘイ(考えるヒント/常勝競馬)

09年より予想活動をスタート、11年からはブログ【考えるヒント(常勝競馬)】を本格始動。
その圧倒的な洞察力とセンス溢れる爆穴予想で一躍注目を浴び、競馬ブログランキングでは常に上位に名を連ねている、若手予想家の人気筆頭格。
15年には競馬誌【競馬王】5月号でメディア初登場。(現在連載中)

今年の菊花賞では◎ポポカテペトル→対抗クリンチャー(印2頭のみ)という予想で読者を驚かせた。

またレース以外の記事も持ち前の洞察力で深く切り込み、読者の好評を得ている。

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