キムラヨウヘイ 天皇賞(秋)の有力馬診断

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します。

▽アエロリット牝5戸崎56菊沢(美浦)
『昨春シーズンはVMではSペース先行で4着止まり、安田記念では相手強化にもかかわらずMHペース先行で2着激走…コレがコノ馬の本質』という話をしてきた馬です。
最大の敵は瞬発力勝負で、ただしパワーがあり過ぎる馬だけに適正ペースで運ぶというのは上位騎手にとっても難題。
近走の良績は距離千六か千八での持続力勝負で、今回秋天では距離延長二千・東京二千でも同様のレース運びができるのか…。
また、昨年毎日王冠好走と本年毎日王冠好走は前哨戦らしく前有利展開、2走前安田記念好走も内有利馬場と後続が色々あったので内前有利展開…このレベルのG1レースだとそれらみたく何かしら恵まれないと勝ち負けまでは届かないか。


▽アルアイン牡5北村友58池江寿(栗東)
3走前金鯱賞では柴山Jに直前乗り替わりの影響もあったかは定かではないが、柴山J曰く「道中もハミに乗りかかってくるような雰囲気で、4コーナー手前からはスカンとハミが抜けてしまうようなところがありました」という難しさを見せて差し遅れる様な形でのチグハグな敗戦。
2走前大阪杯では癖を知る騎手に手戻りと、気を抜かせないで競馬できる内枠替わりにより、全く力を出さずに終わった金鯱賞から文字通り一変という結果に。

プール併用や坂路調教を強いられている様に気難しさは引き続き認められますので、やはり2走前と同条件(継続騎乗&内枠)は是非とも欲しい所…それでも大阪杯では最大限恵まれての1着だけに、相手強化されて誤魔化し利かない東京コースでは勝ち負けまでは厳しいか。


―ウインブライト牡5松岡58畠山吉(美浦)
この秋は12月の香港G1レースが大目標との話。
前走オールカマー前の松岡騎手の談話を抜粋すると「今回も行きたくはないので出遅れるくらいでちょうど良いかと思っています」「今回は結果というよりも、この先のG1に向けて体調を上げていく競馬ができればと思っています」「香港カップまで段階を踏んで状態を上げていきたいから」等々で、あからさまに先を見据えての叩き台鞍だったと解釈できます。

過去シーズンに於いても、夏からの立ち上げ戦は同様の完敗を喫しており、そこから冬季節に向けて調子を上げて来るのがパターンとなっています。

季節進行&この血統馬を知り尽くす松岡騎手のジャッジが上向きとなれば買いたいですが、どちらもまだ手前模様では…まして不適東京コースでは手が出ない。


―カデナ牡5藤岡佑58中竹(栗東)
一瞬の脚を生かしたいタイプで、スローペースでの上がり勝負の方が自身の本領。
ヌルい競馬にはならないG1レース、長い直線の東京コース、そして非平坦コース替わりのココでは如何にも苦しいか。


―ゴーフォザサミット牡4○○58藤沢和(美浦)
△ランフォザローゼス牡3○○56藤沢和(美浦)
天皇賞秋を十八番レースとしている藤沢和厩舎。
札幌記念やオールカマーや毎日王冠など、この天皇賞秋の前座格のレースでは不振傾向でも、この天皇賞秋では激変する例が多々ありますので、そういう面での怖さはゼロではありません。
そうは言っても、ゴーフォザサミットは3歳夏以降に一度も重賞レースで好走できていないならば、能力不足の判定をするしかないですが…。
ただし、ランフォザローゼスの方はまだ全貌が明らかになっていない戦績馬で、秋天と相性の良い毎日王冠での上がり上位敗戦馬という面からも無きにしも非ずの大穴候補評価をしたいです。


―スティッフェリオ牡5丸山58音無(栗東)
前走オールカマー時には通常よりも早めに帰厩して、身の丈に合ったG2を本気で獲りに来た経緯。
レース振りも前哨戦レースでは有利な逃げ戦法で、目先の果実をゲットした結果に。
G2G3では力上位の競馬続きで、それでいて案外人気しない馬だけにまた自己条件(G2G3)レース出走ならば買いたい馬ですが…今回天皇賞秋では能力的にもコース適性的にも臨戦過程的にもマイナス揃う場面で。


―マカヒキ牡6武豊58友道(栗東)



凱旋門賞遠征の影響か、又は母系の血(きょうだいの行き着く所はダート馬と道悪巧者)なのか…年齢を重ねてからのマカヒキの領域は低速決着戦。
スピードが問われると昨秋天皇賞秋みたくてんで駄目で、4走前京都記念のような馬場悪化して速力問われなくなって浮上という近況。

前走宝塚記念は重い馬場になるとのイメージ先行(←決して当週の馬場に則しているとは言えない誤り)から相当穴人気していましたが、実はその前の大阪杯時の馬場よりも数段回も速い馬場だったのが真相でした。
また、序盤から追走できていませんでしたが、それにしても実は自身は近走と同じ程度で走っていたら、周りが速かったから相対的にそうなっていたというのが真理でしょう。

その大敗結果からもやはりスピード性能低下は明白…マカヒキ自身は一貫した走りをしているワケですのでまた低速レース参戦ならば重賞級ではまだやれるはずですが、そうはなってくれない東京コース良馬場予報では難しいでしょう。


▽ワグネリアン牡4福永58友道(栗東)
まずは大阪杯時の有力馬診断を参照↓
『近年のダービーは内枠馬・先行馬有利で、それに恵まれて好走善戦果たした馬のその後成績は不良で、逆に差し追い込みで上位入線を果たした馬ほどキチンと本物馬であるというコトが言えます。
ワグネリアンの場合には位置取り的には先行でも、大外枠克服でしたし先行して“差した”という競馬なので別にそこまで卑下するモノではありませんが…それでもスムーズならばもっとやれたブラストワンピースや万全ならばもっとやれたダノンプレミアムや後方競馬エタリオウとの比較では決して抜けたダービー馬ではないとの見立て。
クラシックシーズン活躍しても古馬以降に同様の活躍をした例は未だに0例と言っても良いディープ牡駒で、特に早熟傾向が強いディープ×キンカメ配合でどうなのかという面もあります。』
・・・
大阪杯3着・札幌記念4着…決して悪い戦績ではありませんが、ダービー馬との目線で言えば物足りない戦績なのは事実…そして上記の通り今更伸びしろを見出し辛い背景馬ですのであまり期待はしたくない。


▽スワーヴリチャード牡5横山典58庄野(栗東)
ハーツクライ産駒を本領発揮に導くには馬を動かす技術が重要で、外国人騎手⇔日本人騎手の差が顕著に反映されます(芝重賞での前者好走率7割⇔後者1割台)。
(逆にディープ産駒などキレ優先の馬の場合には、そこまで外国人騎手と日本人騎手の差異は無い。)

今回は横山典Jに乗り替わりとなりますが、上記に則れば決してプラスとなる材料ではないだろうと。

また、これまでデムーロ騎手が自分仕様に粗く乗り回してきた馬だけに、その後任というのは余計難しさがあるはず。
横山典J自身も馬とのコンタクトを重視する騎手で、テン乗りで一発決めるタイプではなく、継続騎乗の中でその馬の良さを引き出す騎乗で好走に導くという騎手(本年重賞好走例もほぼ全てソレ)。同じく波紋を呼んだG1乗り替わり一発目ではエタリオウ・ゴールドアクターが挙げられますが、そんないきなりミラクルをしてくる騎手ではないので…。


▽ダノンプレミアム牡4川田58中内田(栗東)


まずは僚馬ダノンファンタジーの秋華賞時の有力馬診断を参照↓
『中内田厩舎は“早期戦”と“前哨戦”と“鉄砲戦”に強い特徴があって、前走ローズSはそのほぼ全てに該当する局面での人気通りの勝利。
当時は最終的には“早期戦”ではないという点で◎印は打ちませんでしたが、やはり2歳当初の圧倒的な存在からしたら3歳春→3歳秋へと時間が経過する毎に個体としての優位性は失われている頃合いなのではないかと見られます。』
・・・
ダノンプレミアムのこれまでは前哨戦マスターで、一方で本番G1とは中々縁が無いという…今回は前哨戦挟まずの即本番レースという試みについては買い評価を与えたいです。
ただし、中内田厩舎の2歳時に世代横綱級のインパクトを残した馬が4歳古馬になってどこまでやれるのかと言えば…今となっては同世代大将格アーモンドアイ・下世代大将格サートゥルナーリアに対して分がある存在とは見られません。

さあ、アーモンドアイ、サートゥルナーリアの評価は如何に?
週末の予想をお楽しみに!

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